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256 平等の都市①

出島から飛び立つとすぐに大陸が見えてきたが、都市や集落はなどは見当たらず、遠くまで森林が続いているように見えた。


「チヌック、この森林はどれくらい続くか見通せる?」

「は、我が主、私の目でも切れ目が見えません」


ヤヒスとチヌックの会話にヴィーシャが割って入る。

「チヌック、ソヴィルバーレまで最短距離を飛んでいるのよね?」

「そうだ、我が同胞、最短距離で進んでいる」


「まぁ食料はたくさんもらって来たから大丈夫だと思うけれど、いつまでもこの調子だと士気が下がるね」

マサカツは寝転んで遠くを見つめている。


結局夕暮れまで何の変化もないまま森林の比較的開けた場所に降り立った。


「おい、チヌよ、同じところをぐるぐる回っておるのと違うか?」

フィスはチヌックの脚に軽く拳を入れながら言った。


「我が同胞、そのように思えるだけで確実に進んでいるソヴィルバーレの位置は常にとらえている」


夕飯はゴブリンたちにもらったライ麦パンとチーズになった。


「しかし、こうまで都市が無いのはどう言うことだ」

リャヒは首をひねっている。


「文明が進むと国民を食わせるために農業・畜産が必定になる、これは土地の開拓が必要になるんだ、大体どの文明でも食料を2年間ほどため込むことが出来る規模にする」


マサカツは地面に絵を描きながら話している。


「確かにそうだ、俺の村でも2年分の蓄えはしているよ」

ヤヒスが答える。

「うん、そこでもっと農耕地を増やそうとすると、この森林のような土地を開拓する必要が出てくる、人員は割かれるし年単位の事業になるね、そこで出てくるのは割に合うか、と言う点だ、つまりこの森林を開拓する意味が無いんだね」


「なるほど」

パムはチーズを食べながら言った。


翌朝もチヌックで飛びしばらくするとヤヒスに向かってチヌックが言葉を発した。

「我が主、先方に都市が見えてきました、畑のようなものも確認できます」

「そうか、とりあえず今日は野宿をしなくてもすみそうだね」


「物騒な都市じゃなければいいけどね・・・」

マサカツが脚を組んで答えた。


それなりの時間空を行くと塀で囲まれた巨大な都市が見えて来た。


「なんだ?城壁内に畑があるぞ、あれは麦畑だ」

リャヒが首をかしげる。

「本当だ・・・それにしても大きな都市だな」


森の外れにチヌックを降ろすと、パーティー一行は都市の壁に向かって歩いて行った。


「入口らしきものが見えてきましたが、城門が閉じられていますね、兵も何人かいます」

ミードリがロッドで先を示す。


城門に到着すると兵士が笑顔で出迎えてくれた。


「ようこそ平等の都市ソビエルへ、旅人は大歓迎です、さあ中へどうぞ」

城門の横にある堅牢な扉から中に入ると全員が辺りを見回す中インテリジェンスソードのプチがヴィーシャに小声で声をかけた。


「マスターヴィーシャ、内側から扉に施錠されました、退路を断つつもりやもしれません」

「ありがとう、いざとなったらチヌックがいるわ」


「む、妙だな、違和感があるぞ」

リャヒがそう言うとマサカツが答えた。


「建築物がどれもほとんど同じで彩色が少ないからさ、それに街路に人が少ないし服装も画一的だ」

「本当だ、何でだろう?」

ヤヒスが疑問を抱くとヴィーシャが答えた。


「平等の都市と言っていたわね、個性が無いのは確かに平等だわ」

「主義主張をどうのこうのいうつもりはないが、この都市は警戒した方がいい」


マサカツ平らな目をして言った。

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