254 フィールド
戦が終わるとドワーフは元の大きさに戻り、エルフも加わり手を握り合い拳を合わせた。
「両部族とも良く集ってくれた、礼を言うわい」
ブントが声をかけるとそれぞれ声をあげる。
「先日、島の三種の重要性を学びましたからね、確かにどこか一つだけでは成り立たない」
エルフの青年である。
「父祖から聞いていたよ、戦のことは寝物語で聞いていた、秘薬を常に持っていて良かった」
ゴブリンは体躯が元に戻っている。
そこにマサカツがやってきてブントに話しかけた。
「ねぇ、さっきからずっと地面が微振動しているんだけど、こりゃなんだい?」
「微振動・・・?しまった!!戦に集中していて気付かんかった!お前らは早くグリフォンで陸地に戻れ!!」
「え?どう言うこと?」
ヤヒスが質問するとブントが唸るような声で言った。
「遅かったか・・・あれを見てみろ空にフィールドが展開していくだろう・・・?アレが閉じると島から出られなくなる」
「ええぇ!?」
ヴィーシャが驚きの声を上げるが、ブントはそれに答えるように言った。
「閉まっちまった、遅かった・・・」
「どうなるのかな、どれくらいで開くの?」
パムがポテポテ歩いてきて質問する。
「うん、今は島が流れておる状態でな、次の陸地に近づけば自然に開く、一か月ってところだな」
「一か月か・・・半年くらいと言われると思っておったからまだ救いであるな。
リャヒはため息をついた。
「言っても始まらないわ、たかが一か月と思えば早いものよ」
ヴィーシャは腰に手をあてて開いたり閉じたりしている。
「チヌック」
「は、我が主」
「未知の土地に降り立ったとしてもソヴィルバーレの場所は分かるかな?」
「は、しかと」
ヤヒスは肩にとまったチヌックに話しかけている。
「じゃあまずは遺体の埋葬ね、敵とは言え命を落としたものよ、埋めてやるくらいはしましょう」
「そうだね、放置しておくと悪い病が発生する」
ヴィーシャとマサカツは周囲の者たちに話しかけている。
他の者が遺体を埋葬している傍らフィスとヤヒスそれとマサカツはフィールドをこじ開ける試みをしていた。
「だめだわ、ワシの火炎でもびくともせん、恐ろしく頑強なフィールドだ」
ヤヒス達は船の上から宙を舞うフィスを見つめている。
「俺の剥離スキルも効果が無いし、どうなっているんだ?」
「んー・・・剥離のスキルは、こう、くっついている物を引き剥がすスキルだと思うんだ、このフィールドを見るに海中まで覆っているように見える、こういう風に球形にね」
マサカツは指で円を作った。
「そうなると隙間が無くなる、何と言うのかシャボン玉みたいなものだね、完全に閉じているから剝がせないんだろう」
「しかし誰がこんなものをしつらえたのかのう?」
マサカツの隣に人間型になったフィスが降り立った。
「うーん・・・いくつか仮説を立ててみたけどどれもしっくりこないね、」
マサカツは手で脚を叩きながら悔しそうな顔をしている。
マサカツたちが村に戻るとドワーフが集ってどよめき声をあげている。
「なんと・・・この武器はなんじゃぁ・・・?折れた面を見ても何でこうなっておるかわからん、この波打っておるのは何なのだ、何で反っておるかもわからん」
ドワーフのそばにマサカツが近寄る。
「お、やはり日本刀に気が付いたね」
「ニホント・・・?そう言う名前なのか?おぬしはこれの構造が分かるのか?」
「うーん・・・書籍知識だからあいまいだけど・・・」
マサカツはしゃべり始めた。




