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250 エルフの贈り物

エルフの村は居心地が良く美しかった、どういう理屈か大木の太い枝から滝が流れ落ち、木々の間にはつり橋が幾重にもかけられ、テラスやソファーが設えてある。


「今までの村と違う、きれいすぎる」

パムがそう言うと全員うなづいた。


「俺はどうも気に入らないよ、他の部族を軽く見ている気がする」

「同感だね、カンに障る所がある」


ヤヒスとマサカツは話しあっている。


「でもまた何か得られるものがあるはずよ」

「そうです、偏見はこちらにもあるかもしれません、元々異種族がすぐに仲良くなることの方が異例です」


ヴィーシャとミードリの言葉だ。


「それにしてもマスターがあんなに怒る所は初めて見たぞ」

フィスの意見に他の者もなんとなく同調している。


「いや~申し訳ない、いきなり怒っちゃってさ、馬鹿にされたのが悔しくて」

ヤヒスは苦笑いをした。


そこにリャヒが戸を開けて入って来た。


「戻ったぞ、ここの長と面会してきた、仔細話をしたが長としてはこの村の人々の気位の高さに頭を悩めているそうだ、長は三種族が一体となった外敵との戦を経験しているから、余計に若い者の態度は気にしているそうだ」


「ふうん・・・上の方はわきまえているのね」

ヴィーシャがソファーに座って何か考え込むような表情をしている。


「そうだ、長が若者をたしなめてくれた礼だと我々の装備を設えてくれるそうでな、断ったのだが、自分たちの服飾技術からしてどうも我らの服装は見ておれんほどみすぼらしいそうで、客人をもてなすとしてこけんにかかわるとかどうもな・・・」


「それ、服を作ってくれるってこと?」

ヤヒスがそう言うとマサカツが答えた。


「俺のいた国では自国の技術や産物の最高峰で客人をもてなす風習もあってね、まぁ、どうだ自分たちはすごいのだぞと世に知らしめるためでもあるんだね、性格が出るねぇ」


「くれるモンならもらえば良いだろうに」

フィスが気軽に言う。

「そうもいかないでしょう、もらったら多少なり返すのが礼儀よ」


「どうもやりにくい国だね・・・エルフは弓使いだと聞いたな、弓は俺の得意とするところだ、作ってもらった弓にもどうも何がしかの属性が乗っているらしい、俺は弓の腕を見せるよ」

マサカツは弓を張る動作を見せた。


「じゃあ私は剣の演武をすることにするわ」

「ワシも格闘技の型を披露することにするかの」

ヴィーシャとフィスはそのようなことを言った。


「うむ、それくらいのことで良いだろう、あまり大げさなのもかえって良くない」

リャヒは椅子に座りテーブルに肘をついた。


翌日はエルフによる採寸と、各々が得意とする戦い方を聞き出されるなど、忙しい日となった。

装備が整うまではエルフの村を見て周り、独特の甘い菓子を食べるなどして過ごした。


やがて衣装が完成し、黄昏パーティー一行はそれを着せられ長と共に舞台へと立った。

どれだけ軽く強いか、伸縮するかなど朗々と語られた。


「やはり我らの技術は素晴らしいな」

「ああ、よそ者などにはもったいない」

「いや、外に戻ってからあれを見た者どもがエルフの技術に驚嘆するに違いない」


(やっぱりタダでくれるわけでもなく、国の技術をお披露目するいい機会だと考えているみたいだな、まぁくれるんなら良いけどさ)

ヤヒスはヒソヒソ声を耳にしてそう思った。

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