241 大剣
出島に上陸した黄昏パーティーはドワーフと言う種族と交流をはたした。
「お嬢さんよ、その背中の剣を見せてくれんかね?」
「良いけど重いわよ」
「だから言っておるんだ、アンタの体格ではそんな剣を持てるわけがない、つまりそれは特別な剣、ワシが思うに伝説のインテリジェンスソードじゃぁないのか?」
「そうよ、良く知っているのね?」
「ぐわはははは、金属や剣に関してはワシらドワーフの右に出る者はおらんでな!!」
ブントが上機嫌なのでヴィーシャは大剣を地面に置いて自由に触らせることにした。
「なに、インテリジェンスソード?」
「本当か?」
「ワシらにも見せてくれ」
いつの間にか多くのドワーフが集まっていた。
「フーーーム・・・素晴らしい輝きだ、しかも刃こぼれ一つ付いておらん」
「そう言えば一度も研ぎに出していないわね」
「インテリジェンスアイテムは自己修復すると聞いたことがあるぞ」
「なに本当か、いやそうでもなくては考えられん」
「伝説の通りじゃ」
「ワシにも触らせろ」
その場は大騒ぎである。
「ところでお嬢さん、コイツの名前は何て言うんだ?」
「名前?剣に名前は付けてないけど」
「なに?そりゃいかん、ワシらの間では道具は相棒として皆名前を付けておる、何か良い名前を付けとくれや」
ブントが前のめりで話しかけてくる。
「ん、う、名前って言っても急には思いつかないけど・・・うーん・・・ああそうだわこの剣の名前はプチにするわ」
「プチ・・・剣に似つかわしくない柔らかい名前だな」
「前に飼ってた犬の名前よ、死んじゃったけどね、親友だったから何日も泣いたわ」
ヴィーシャがそう言い終えたとたん、大剣は眩く輝き、その身を宙に浮き上がらせた。
「ハーイ!やっと名前を付けてくれたね!マスターヴィーシャ!私と君はこれで親友だ、私が君を必ず守るよ!!」
「ん・・・剣がしゃべった」ヤヒス達は驚いている。
一方でドワーフ達は真剣に話し合っている。
「やはり名付けが必要だったようだな」
「うぅむ、ワシらが道具に名付ける習慣もこれの名残かもしれん」
「ある程度予想はしていたが本当に喋るとはな」
「さすがは伝説の剣じゃ、おどろくばかり」
「プチ、で良いのよね」
ヴィーシャは大剣に話しかけている。
「オーケー!!初めて名前で呼んでくれたね!!この時をずっと待っていたんだよぉ、麗しの乙女が持ち主で光栄だよ、むさ苦しい男なんて御免だからね!」
「なにか軽薄な感じのしゃべり方だけど・・・その口調は本来のものなの?」
「そうだよヴィーシャ!折れた私が復活した時からこう言った知性と喋り方なのさ!」
ヴィーシャは渋い顔をしてパーティーメンバーを振り返る。
メンバーも皆ため息をついたり笑ったりして、プチのしゃべり方に反応している。
「うん、僕のいた国の本でもこういう砕けた口調のインテリジェンスソードが登場したなぁ、べらんめぇ口調だったけど・・・」
マサカツが腕組みしている
「武器がしゃべったところで何か利点があるのかのう、ワシは良くわからん」
フィスは皆が思っているであろうことを口に出した。
「ハーイ小さなレディ!!私は武器だ、危険を察知することも切り結んだ相手の情報を得ることもできる、それをマスターヴィーシャにつたえられるの、さ!!」
「なるほど・・・我々では感知できない危険や情報を伝えてくれるんですね」
「イエス!麗しの君・・・」
ミードリはプチの反応に戸惑っている。
「よくしゃべるなぁ」
パムはあきれている。
「むう、我のジェネティックアイテム、この槍も名付けた方が良いのだろうか・・・しかししゃべりだしたとして御爺様のお叱りを受けるのは目に見えている・・・名付けはせん方が良かろう。
リャヒは額に指を当てて困ったような表情を見せた。




