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239 出島

「・・・とまぁこう言った具合である」


オオカワは一方的に喋り、こちらからは質問が出来ない空気であった。


(足が・・・なんかジンジンしてきた)

ヤヒスは脚をもぞもぞと動かしてシビれを和らげようとしたが、良く見ると他の面々も同じようにもぞもぞとしていた。


「オオカワ様、とりあえず出島が見える場所まで行きたく存じます」

「おお、そうか、では後ほど下男が来るからそれに案内させる、では私はこれで失礼する」


オオカワは襖を閉じて去って行く。


「・・・っあ~~~足がジンジンする・・・」

ヴィーシャが畳に倒れた後で各々が脚を崩したり倒れたりしていくが、マサカツは平気な顔をしている。


「マサカツはなんで平気なんだよ・・・足がジンジンしないのか?」

ヤヒスは絞り出すような声でマサカツに話しかける。


「ん?僕の国では割と普通だったからね、正座するのは」

「な、何か解消する方法は無いんですか?」

ミードリはマサカツに声をかけた。


「うん、こう、無理やりにでも足を延ばしたり曲げたりすると割と早く治るよ」


全員の顔が青ざめる。


「とりあえずヤヒスで試してみよう」

マサカツはヤヒスの脚を伸ばしたり曲げたりさせた。


「あがががががががが!!!」

ヤヒスは悲鳴をあげている。


ヴィーシャはその様子をひきつった顔で見ている。


「あんれまぁ、お客様方は足が痺れただね、異国のお客人があると大抵こうなるんでさ、しばらくすれば元に戻るでよ」


襖をあけて下男が様子を見ている。


何とか足の痺れが取れた面々はよろよろと立ち上がって、入口まで行き荷物をまとめて外に出た。


下男は屋敷から真っ直ぐに通りを歩いて行きなんとなく磯臭くなってきたところで港に出た。

「あれが出島でございますでさ」


下男が指さす先には確かに巨大な陸地が見えた。


「あ・・・あれは島なんてもんじゃないぞ・・・陸地だ」

ヤヒスが口をぽかんと開けている。


「うーん、確かに前回来た時には無かったね、何か大きな地震とかは無かったかい?」

「地震でごぜぇますか、目立つようなものは一つもねぇでございます」


マサカツは下男に色々と聞いている。


「あそこまでは何メルトくらいあるのでしょうか?」

「へぇ、それが島に気付いた漁師も急いで引き返してきたため何もわかりませんでごぜぇますではい」

ミードリは目を細めて島を見ている。


「今すぐにでもあの島に上陸しても構わないのかしら?」

「へ、オオカワ様からはなるべく早く上陸させるようにと仰せつかっておりますので、すぐにでも良いと思いますで」


ヴィーシャは一行に目配せすると、全員首を縦に振った。


「はぁならまぁ船を手配しますでさぁ」

下男がそう言うとヤヒスは彼に声をかける。


「その必要は無いよ、チヌック!!」

ヤヒスが叫ぶと一羽の鷹が舞い降りてきて着地するとすぐに巨大なグリフォンの姿に変化した。


「なぁ・・・は、よ、妖怪」

下男はへたりと座り込んでしまったが、周囲の人間も皆同じような反応で、周囲がざわつき始めた。


チヌックの背に各々が乗り込むと、ヴィーシャが下男に言った。

「これは私たちが使役している魔物よ、大丈夫だわ、これで島まで行くからオオカワ様にはそう伝えてちょうだい」


「チヌック、島まで飛んでくれないか?」

「は、我が主」


チヌックはゆっくりと舞い上がりそのまま海の方へ舞って行った。




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