219 ピルム国の神②
ピルム国に神をしつらえるために、マサカツが提案した神道式のやり方が取られた。
しめ縄はすぐに出来あがり、折られた紙も三枚つけられ、大木に巻きつけられた。
そして木の台に酒と乾し魚が添えられた。国中の物が集まりざわざわと事の成り行きを見守っている。
しばらくするとピルム国の正装に身を包んだマサカツが紙のついた棒を持って静かに表れた、あたりがシンとなる中でマサカツは棒を振りなにごとかとなえている。
誰ともなくこうべをたれ儀式めいた様相を呈してきて、しばらくその様が続くとマサカツは振り向き言った。
「神が宿りました、祈りの言葉はいりません、自分の心中で困りごとが解決することを願うのです、私利私欲や他を貶めることはいけません、神のバチがあたります、バチとは不幸が起こることです」
そう言うとマサカツは歩き出しどこかへ消えて行った。
翌日からは祭などの催しごとの思索に入った、まず楽器をさがし、戦太鼓が有ることがわかり、それをそのまま祭太鼓にすることになった。
「拍子は鍛冶屋でちゃッと作るとして笛がなぁ・・・」
マサカツが考え込んでいると、ヤヒスが自分は笛を吹けると申し出てきた。
「笛は一日あれば作れるから明日から調子を合わせる感じで良いかな?」
「ああ、おそらく君の村で奏でられていたものとだいぶアレンジすることになるけどいいかな?」
ヤヒスとマサカツは各々作業に取り掛かり、翌日には拍子と横笛が揃った。
「そう、ふんふふんふふんふふんふふんふんふんふんとこんなリズムで、拍子はジャンジャジャン、ジャンジャジャンとこうだ」
「太鼓はどうすればいいべ」
村人が声をかけてくる。
「ドンドンドドドン!ドンドンドドドンと、こう遠慮なく叩いてくれていいよ」
「笛は?」
「もっとこう跳ねても良いよ」
そうこうしているうちにおおよそ一週間でそれらしい祭囃子に聴こえるようになった。
「踊りはどうするのよ、重要よ」
様子を見ていたヴィーシャが話に入って来る。
「ああ、僕がまず地元の踊りを踊るからみんな真似してくれればいい、すぐ慣れると思うから、そうなると自然に踊りがうまい者にみんなが合わせてくるからそこで段落だね」
「アバウトなんだのう」
フィスが横槍を入れるがマサカツはそれに答える。
「何もない所から作り出すんだ、あいまいでいいんだよ、カッチリ出来るわけでもない、それに年数がたてば曲も踊りも変化していき、どこかで約束事が決まるか誰かが記録するだろうからね、そこは北人の村がやるべきことさ」
マサカツは早くも曲に合わせて踊りだした。




