22 Eランク
ヤヒスたち一行は、ダンジョンのある森を抜けた丘の上に座っていた。
陽光と風が心地よい。
「つまりどういうことなの」
ヴィーシャが前のめりで話を進めている。
「ヤヒスさんのスキルは剥離です、剥離とは簡単に言えば物を引きはがすことです、あの場合ロックトータスの外皮を引き剝がしたのでしょう」
ミードリが推測する。
「なるほど、装甲を取っちゃったってことね」
「あの場合ロックトータスは身体に張り付いている装甲をひきはがされた、つまり人間で言うと皮や肉を剝がされたような物かな」
パムが言った。
「そんなえげつないスキルなの・・・?」
ヤヒスは驚いて目を丸くしている。
「これは自在に扱えるようになるまで特訓が必要ね」
ヴィーシャはヤヒスの方を見て呟く。
ヤヒス達はそのまま王都に戻り、図書館でスキルの扱い方を記した本に目を通していた。
「スキルとは才能と会得するものがありけり、どちらとも肉体の一部となるため、呼吸、睡眠などと同等に無意識化の操作を会得することが肝要である、また心で用いて願うことにより発動する、心の鍛錬をすべし」
「要する自分のスキルを意識しつつ、心を落ち着かせると言うことだね」
パムが本の絵図を指で示す。
「まだ鍛錬が必要と言うことか」
ヤヒスは椅子にもたれかかって言った。
図書館の次は冒険者ギルドだ。
「クエスト完了の報告ですね、あら、通過儀礼のダンジョンに行ったのですね、えっこの魔石は、ロックトータスでは、討伐されたのですか」
「もちろんよ、このヤヒスがね」
とヴィーシャがヤヒスの肩を叩く。
「中級パーティーレベルの魔物を、すごいですね、これなら文句なしにEランクに昇格です」
パーティーの全員が喜んでいる。
「これからはEランクのクエストも受けられるわ、レベルも上がるし良い調子よ!」
ヴィーシャが拳をあげている。
「その前にしばらくスキルの調整と言うのか、使い方を教えてくれないか」
「たしかにそう、ヤヒスの剥離はまだ未知の部分が多いから」
パムは考え込んだ様子で彼に言ってきた。
「とにかくパーティーハウスに戻りましょう、今日はタル酒を買ってきてお祝いよ」
ヤヒス達一行はそのまま市場に繰り出した。
酒類を扱う一角で小ぶりのタル酒を購入して、食材も購入した後で家路についた。