213 シュテンドウジ①
黄昏パーティー一行は冒険者ギルドでクエストを探している。
「ねぇ、このシュテンドウジって魔物の集団が特Aクラスになっているわ」
ヴィーシャは壁から紙を剥がしてつぶやいている。
「その集団は鬼と言う妖怪の集まりで人をさらいます、シュテンドウジはその頭にあたる妖怪です、討伐に挑んだ冒険者はだれもかなわなかったそうです」
「シュテンドウジ・・・これもまた時代が違うが、酒吞童子のことだろうな」
「おっ?またぞろ婆さんの話しに出て来たのか?」
マサカツとフィスが何かやり取りしている。
クエストをうけることとなり、冒険者ギルドを出ると、そのままマサカツに導かれるように酒屋に入った。
「一番強い酒を小さい樽でくれないかい?」
マサカツは酒屋に注文を出した。
「豪気だねぇ、ちょっと待ってな」
店主は店の奥に消えて樽を担いで持ってきた。
ゴールドを支払い、またマサカツについて歩いて行くと、そこは薬屋だった。
「おっちゃん、酒に混ぜたら昏倒してしまうような薬は無いかい」
「おっ?なんだ?どう言うんだ仇討ちでもすんのかい?まあワシには関係ないことだがな」
マサカツの注文に店主は答えて、水薬を出してきた。
「わかった、鬼に酒を盛って昏倒させるのだね」
パムはマサカツに問いかける。
「そうさ、俺の国なら多くの人が知っている鬼退治だよ、本当は山伏の恰好をするのが通説なのだけれども、そこは多分大丈夫だろう」
一行は山の中に入り大分進むと、岩屋を改造した屋敷様の建物にたどり着いた。
「ここがシュテンドウジの屋敷かしら」
「多分そうだね、これから先は僕の言うとおりに動いてくれよ」
マサカツがそう言うと全員がうなづいた。
「おたのみもうす!おたのみもうす!」
マサカツは門を強く叩き声を張り上げた。
しばらくすると魔物が現れてマサカツをジロジロ見ている。
「人間が何の用だ、ころすぞ」
魔物がそう言うとマサカツは話し出した。
曰く人間に騙され大金を盗まれたこと、仕返ししたいが、役所が取り合ってくれないこと、だからあなた方の仲間になりたいと大仰にまくし立てた。
もちろんすべてデタラメである。
「・・・頭に伺いを立ててみる、そこにいろ」
魔物は引っ込み、しばらくすると門が再び開き、入れと言われて全員中に入った。
広間に入って座していた一行の前に10代半ばと思われる美少年が現れた。
「ワシは酒吞童子、我らの仲間になりたいと申すのはそなたたちか」
酒呑童子と名乗った美少年は透き通った声を出した。




