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212 ぬえ②

マサカツの注文した矢が完成するまでは色々と観光したが、今までのどの都市とも文化が異なっていた。


物珍しく観光をした後で武器屋に入ると矢が完成していた。


「にいちゃんの注文の品は良い出来栄えだぜ、ちょっと盛って金をとりたいぐらいだね」

「じゃあ言い値でいいよ」

「なにぃい、面白いことを言うな、金持ちの道楽か?」

「いや、技術を持った人間が作った物には当然の対価が必要だ、それに見ればわかるよ、いい品だ」


武器屋の親父はじっと考え込んでいた。


「ふん、面白れぇ兄ちゃんだな、いいぞそれ持ってけ、金は要らねぇ」

「俺はえんりょをしない達なんだけどな」

「こっちだって二言は言わねぇ」


マサカツは武器屋の親父とそう言った会話をして店を出た。


「ただでもらえたの、こんなにきれいな矢を」

パムがマサカツを見あげている。


「ふむ、我もこれはと言う人材や注文以上の仕事をした者には、その技術に応じて報酬を与えていた、認められれば喜びもあり、プライドも満足する、あの御仁は自分の技を認められたことが報酬と考えたのだろう」

リャヒがそれらしいことを言った。


「お前はたまに王らしいことを言うのう」

フィスがリャヒを小突いている。


「ぬえが出没するのは夕方で、山を登った先にある大岩だって書いてあるわね、今から行けばちょうど良さそうだけど」

「このまま行きましょうか日も落ち始めています」

ミードリは西日を眩しそうに見つめている。


山中に分け入り大岩が見えてきたので、各々そこらに座り込んで待機している。


「む、魔物の気配がするのう・・・出るぞ」

「うん・・・やはり黒い霧が立ち込めてきた」

フィスとマサカツがやり取りしていると、黒い霧をまとった魔物が姿を現した。


ミードリが瞬時に火炎魔法を放つが、黒い霧に吸収されてしまいまるで効果が無い。

フィスの素早い動きも霧に巻かれて反らされてしまう。


近接職の攻撃は、岩から大木へ、はたまた岩へと黒い霧の効果もありかわされてしまう。


それを見ていたマサカツが背中から大弓を引き出して、ヤマドリの尾羽をしつらえた矢をつがえキリリと弓を張った。

ぬえはその様子を漫然と見つめている、自分が絶対有利だとでも言うのだろう。


ヒョッ!と言う音ともに矢は放たれ、黒い霧の中に吸い込まれて行った。

そのとたん激しい叫び声があたりに響いたかと思うと、急にしんとして黒い霧は消え、魔石と矢が転がり落ちてきた。


ヤヒスは魔石と矢を拾うとマサカツに話しかけた。


「すごいな、一撃じゃないか、俺たちの攻撃は通らなかったのに」

「婆ちゃんの教えてくれたお話の通りにやったまでだよ」


「お年寄りの話しは聞いておくものだね」

パムはマサカツを見上げて言った。

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