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211 ぬえ①

マサカツは妖怪討伐のため、ヤマドリの尾羽で作った矢を注文した。

「ヤマドリぃ!そんなもんで矢羽を作ったことねぇゼ、伊達でも気取るのかい兄ちゃん?」

店の店主が声をあげる。


「マサカツにはなにか考えがあるの?」

パムが不思議そうに聞いている。


「うん、先日の巨大ムカデ件もそうだけれど、名だたる武人が知恵を受けて妖怪を倒す話は、幼いころから良く聞かされていたんだ」


「ふむ、我が使うヤリも先祖伝来の物であり血族でしか扱えない業物ワザモノだが似たような話ではあるな」

リャヒがマサカツに話しかける。

「そうそう、そう言った伝来の武器を用いて戦う話もあったよ」


「ところでマサカツはなぜ急に弓矢を使いだしたんだい?習っていたようなことを言っているけれど」

「俺の使っていた弓は身長を超すような大弓でね、ソヴィリバーレの弓は短い弓だったからなんだ、技術に合わないんだね」

ヤヒスとマサカツの会話から地方での武器の違いが見て取れる。


「ふーん・・・じゃあ、ぬえって魔物のことも心当たりがあるのね」

「うん、これも多分攻撃無効化に近いことをしてくると思うよ」

ヴィーシャとマサカツがやり取りしているのを見てヤヒスは思った。


(マサカツは神だ、しかし以前の神とはまるで違う、知識や技術で問題を解決する、これこそが神の御業なんじゃ無いか)


一行は投宿し、マサカツが食べたがるソバを食べに出かけた。

魔石ちょうちんなる光源をぶら下げて屋台に入り全員分のかけそば、を注文した。


「む、フォークが無くて二本の棒を渡されたぞ」

「これで食べろと言うのでしょうか・・・」

リャヒとミードリが困惑している。


それをよそにマサカツは器用に麺をすすり上げている。

「これも君の国で使う食器なのかい?」

ヤヒスがマサカツにたづねる。


「そうさ、ハシって言うんだ、およそあらゆる食文化に対応できる優れた食器だよ」


マサカツ以外は相当に苦労して食を進めている。


「いなり、4つね」

「二つで十分だよ」

店主がそう言うのをよそにマサカツは答える。


「4つだね」

「2つで十分ですって!」


マサカツは何やらもめているようだ。


「ふむ・・・ハシは扱いにくいがこの汁と言うのか匂いは良い感じだの」

「おっわかるかい?ウチは良いカツオブシ使っているからね」

フィスは気に入ったようだ。


「カツオブシ・・・何かの調味料みたいね」

ヴィーシャは汁を飲みながらつぶやく。


全てを食べ終えたマサカツはどんぶりを置いてしゃべりだした。


「カツオって言う美味しい魚を乾燥させるんだ、水分が大半飛んじゃって木みたいになった所を保存してカビが生えるのを待つ、このカビが重要でね、うまみの元になるんだ、それを使って味を出しているんだね」


最後まで聞いた面々は全員汁を噴き出した。


「カビぃ!?」

「カビ生えてるの!?」

ヴィーシャとヤヒスは口を拭いながら言葉を発した。


「なに、ソヴィリバーレでもカビの生えたチーズが好まれるじゃないか、カビは人類の友さ」

マサカツは笑顔で言った。

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