210 巨大ムカデの討伐
マサカツの放った矢は巨大ムカデの背に深々と突き刺さった。
その直後にムカデは暴れ出し、あれ寺の屋根を破壊している。
「どういうことなの・・・」
ヴィーシャが言葉を発した後に巨大ムカデは塵となり、魔石が瓦屋根を転がっていった。
「マサカツさん・・・これはいったい」
ミードリが驚いた様子で彼に聞いている。
「予想が当たって良かった、僕の国の古事にね、大ムカデを退治した話があるんだけど、攻撃が通じないところに矢じりに唾を縫って射貫くと死亡したと言う話があるんだ、それを思い出してね」
マサカツは弓を背にしまい、魔石を拾いに行った。
「ジャパンではマサカツの知識が役に立ちそうだね」
パムはマサカツに向かって話した。
夜道を歩き宿に戻り一夜が明けた。
冒険者ギルドの戸を開けると昨日とほぼ同じ面々がたむろしている。
「兄ちゃん、俺の弓矢は役に立ったかい?」
男の一人がにこにこしながら声をかけてきた。
「うん、おかげさまで巨大ムカデを倒せたよ」
そう言って魔石を取りだすと室内がざわついた。
「間違いなく巨大ムカデの魔石ですね」
受付嬢は魔石を鑑定して言った。
「おいおい、こりゃどんな手を使ったんでぇ?」
刀を肩にかけたジャパンの冒険者が不思議がっている。
「ふふ、そう簡単に教えないよ、そうでしょう?」
「ふん、ちげぇねぇな!」
マサカツはすでにこの国に馴染んできたようである。
「さて次のクエストを探しましょう」
ヴィーシャは掲示板を見つめている。
「聞いたことの無い名前の魔物ばかりだな、ぬえ、とはなんであるか?」
リャヒは目を細めてみている。
「ここはあんたらの国とは離れているからな、魔物と呼ばず妖怪ってぇ呼ぶのさ、そいとぬえ、ってぇのはタヌキ、トラ、サル、ヘビがごっちゃになった妖怪だ」
「・・・うーん、これは僕も弓矢をひとそろい装備した方が良いかなぁ、しかしぬえは江戸時代には出ないはずなんだけど、この世界はまあごちゃ混ぜなんだろうな」
マサカツはため息をついた。
「後衛はミードリしかおらんからの、お前が後衛になるならありがたいだろうよ」
フィスがそう言ってマサカツを後押しする。
ギルドの男に教わり、一行は弓矢をそろえる店にたどり着いた。
マサカツはミードリと共にツールレンズで性能を確かめ、弓を張ったりしている。
一振りの弓を選んだマサカツは店主に注文を出した。
「ヤマドリの尾羽を使って、なるべくするどい矢じりで矢を一本しつらえてくれ」




