205 マサカツの豊富な知識
黄昏のパーティーメンバーが応接室でお茶を飲んでいると、リャヒが入ってきて言った。
「待たせたな政務が終わったのでソヴィリバーレに戻ろう」
「あら、ずいぶん早いのね」
ヴィーシャがリャヒに声をかける。
「うむ、土壌改良に来てくれた老人が非常に優秀でな、農業指導をしながらせっせと帳面をつけていてな、3年先までの計画は整っているそうだ」
「3年も先か、たいしたもんだのう、老いては敬うべしと言うが本当だのう」
フィスが腕組みしていった。
「政治のよもやま事もな、新しい大臣がまた優秀でな、当面は彼に任せることが出来そうだ」
リャヒは満面の笑みで立っている。
そう言うことになって一行はソヴィリバーレ王国に戻って行った。
マサカツはその足でミードリと図書館に行き、ヴィーシャは冒険者ギルドにクエストを探しに行った。
ヤヒスは夕飯の下ごしらえをしている。
「きょうの夕飯はなにかのう」
フィスは椅子に乗ってヤヒスの手元を見ている。
「チキンフライさ」
「なんぞチキンフライとは?」
「マサカツから教わった料理さ、異世界料理ってことになるね」
「聞いたことが無い料理」
パムも近寄ってきた。
「こうして鶏肉を少し叩いて適当な大きさに切る、そこに塩と香辛料を振って・・・このまましばらく放置だね」
夕暮れ時になり全員がパーティーホームに戻ってきた。
「はようはよう、料理の続きを」
フィスがキッチンを覗いている。
「溶き卵にくぐらせて、パン粉をまぶす」
「パン粉とはなにかな」
パムが聞くと。
「硬くなったパンを細かく砕いたものだよ、これが重要」
ヤヒスはパン粉をまぶしてトレイの上に並べている。
フィスはヤヒスに言われてゆでたじゃがいもと、パンを食卓に並べた。
「ここで菜種油を贅沢に使用して、衣の欠片を熱した油に落として温度の具合を見る、うんちょうど良さそうだ、これにさっきのチキンを間をおいて入れていく、まあだいたい3個くらいだね、黄色くなったら上げて網の上に置いて油を切る」
しばらくして全員分のチキンフライが食卓にいきわたった。
「早う食べるわい」
フィスはそう言ってチキンフライにかぶりついた。
「あっつい!!・・・それがうまいわい、塩味と香辛料が合わさって食べたことに無い味だ!」
マサカツはチキンフライを食べながら言った。
「フィス、こうしてパンに乗せてね、くるんで食べると・・・うん、おいしい」
フィスはかぶりつくと顔をやわらかにした。
それを見ていた全員が真似をする。各々が感嘆の声をあげている。
こうしてマサカツの知識から料理と言うジャンルが追加されることになった。
ネタに困ったら料理回です。




