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204 農業は原始的な工場

リャヒが王を務めるピルムでの農地開発を見学しに行くことになった。


しばらくは農耕場で土地を耕していたが、ようやく種まきに入った。

北人と人間は共同で種をまいている。


「ねえおじいさん、種ってあんなに適当にばらまくだけで良いの?」

ヴィーシャの疑問に老人が答えた。

「ライ麦は強い農作物なんだよ、下手に丁寧にまくよりもあのくらいで丁度いいんじゃ、だいいちに楽だしのう」

「適当なのが好いってこともあるわけね」


「ん?焼き畑をして石も根っこもどかしていない農地に種をまいているけれど、あれはさすがにどうなの?」

マサカツが質問すると老人が答えた。


「あれはあれでも生える強い作物を植えてある、東方の品種でソバと言う」

「そ、ソバってあの白い花がわっと一面に咲くソバかい??」

「そうそう、良く知っておるの」

「そ・・・蕎麦が食える!!やったーーー!!夏の暑い日に、こう、ズゾゾと食う蕎麦が」


「よほどおいしい食品なんだね」

パムがマサカツを見て感心している。


ミードリは紙に何か書きつけている。

「なにを書き込んでいるんだい?」

ヤヒスが聞くとミードリは手を止めて答えた。


「農業の大まかな仕組みを書き込んでいるんです」

「農業をやる気なの?」

ヤヒスが質問するとミードリは答えた。


「農業は雑多に見えて、なにか仕組みがしっかりとある気がするのです、魔法もそう言った部分が大きいです、ですからなにか参考になる部分があるかと思いまして」


ミードリはまた紙に書きつけはじめた。


(そんな風に考えたこともなかったな、天気や土の色などを見てやり方を変えて、それを判断するのは長老やボッコのおっちゃんだったからなぁ)


ヤヒスは自分のしていた作業がそんな風に思われていることを意外に思った。


「ミードリが言いたいのはね、農作業は土を耕して種をまくだけの単純な作業ではなくて、体系だった技術だとわかったってことよ」

ヴィーシャはヤヒスの肩を叩いて言った。


そこにマサカツがやってきて話に加わった。

「面白い話をしているね、農業は土木の基礎でもあるし、基礎的な工場でもあるんだ、ここから文明が飛躍的に進歩した転換点だと言ってもいいね」


「マサカツ、前から思っていたがおまえは知識が多すぎるし、頭が良すぎる、何者なんだ」

フィスがちろりとマサカツを見すえて言った。


「はは、ただの大学生だよ」


マサカツはソバ撒きの様子を楽しそうに見ていた。

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