203 マサカツの知識
リャヒは農地を視察すると城に入り執務室に入った。
「私たちはどうすればいいの」
ヴィーシャが話しかけるとリャヒは言った。
「む、そうだな、ヤヒスとマサカツ以外は応接室にいてくれ」
そう言われて他の者は退室した。
リャヒは控えの兵士に命令をする。
「土壌などの開発責任者を呼べ」
「はい、ただちに」
兵士は外にいた兵士に何事か伝えている。
間があって帽子をかぶって土に汚れた老人が入ってきた。
「はぁ、王様の部屋でこんな泥だらけで申し訳ない思います」
老人は頭をさげた。
「かまわん、その姿は真剣に事業に取り組んでいる証拠、賞賛に値する」
リャヒはそう言って紙束をめくり様々な質問をしていった。
「お前たちはどう思う?」
ヤヒスとマサカツに質問が投げかけられた。
「俺は言うことは何もないよ、じいちゃんにはかなわないさ」
ヤヒスは笑顔で言った。
マサカツは口を開き喋りだした。
「品種・・・ここの土壌に合った品種の種を各国から買い取って、今までとは違う作物も試してみるのが良いかと思うよ」
「ふーん・・・端的に言うと?」
リャヒはマサカツに言葉を投げかける。
「種と土はあうあわないがあるんだ、一番合う種をつかうんだ、それに単一種だと病気の蔓延に弱い、まぁこれは年数がかかる場合もあるんだけどね」
「年数か・・・まぁそう都合よくいかないか」
リャヒは机に肘をつき報告書を眺めている。
しばらく問答が続いた後、大体のことは分かったからと、リャヒはその場にいる三人を退室させた。
「ずいぶん時間がかかったじゃない」
応接室に入るとヴィーシャが話しかけてきた。
「農地開発は時間がかかるからね、その計画段階の話しも時間がかかるのさ」
マサカツはにこやかに話している。
「それにしてもマサカツさんが残った理由はなんです?鉄鋼や発明が専門では?」
ミードリは興味があるようだ。
「リャヒは鋭いね、僕には基本的な教養があるとふんだのだろう、農地のことも何かわかるかもしれないと思い残したんだね」
「で、知識はあるのか?」
フィスがソファーにふんぞり返りながら言った。
「僕の国では8歳くらいかな?基本的な栽培法を習い、10代半ばごろまで場合によっては知識を得る機会があるんだ、18歳くらいまでには男子なら、栽培、料理、木工、鉄工、裁縫を身に付けることが出来るよ」
パーティーメンバーは驚いていた。
「それはすごい、文明の差が感じられる」
パムは考え込むような表情でマサカツを見ている。
別の国では当たり前の知識でも、他の国では道の知識であることは良くあることである、異世界間ではなおのことそうなるのである。




