202 農地開発
リャヒは外から戻った後で言った。
「しばらくピルム国に帰ろうと思うのだが、都市や農地の改良を視察したくてな」
「王だもんねそう言うのは当然なことだよね」
ヤヒスが言葉を返す。
「どうせならみんなで行ったらいいじゃない、私も興味あるわ」
「そうですね、興味があります」
ヴィーシャとミードリはピルム国に行く気満々である。
そう言う経緯で全員がチヌックに乗りピルム国へ向かった。
「む、見えた来たぞ、ん?煙が上がっている、何かゴタゴタでもあるのか?」
そう言ったリャヒにヤヒスが答えた。
「多分焼き畑だと思うよ。開墾して下草や低木が残っているとそれに火をつけるんだ、草むしりをしなくて良いし、灰が土壌改良に良いんだ」
「ふーむ初めて知ったぞ、さすがにもと農家だけのことはあるな。
リャヒは感心しているようだ。
国の門の前に降り立った黄昏パーティーは衛兵に近づくと、膝をついてリャヒに挨拶をした。
「王におかれましては、ご健康にお過ごしあそばれておりますでしょうか」
「だいじ無い、なかなか楽しい暮らしをさせてもらっている」
「おお・・・それは良きこと」
そのまま黄昏パーティーは町に入って行った、農地は馬を使用して耕されていたし石を拾う人々も
見られた。
「想像より発展の度合いが早いな・・・」ヤヒスは地面に膝をつき、指に土をつけて口に入れた。
「うん・・・悪くないけどまだまだだな」
「げ、マスター何をしとるんだ」
「土を食べているの?なにか意味があるのそれ?」
フィスとヴィーシャが怪訝な顔をしている。
「土壌の様子を見ているんだね、経験のある人間ならこれで大まかな土壌の様子がわかるんだよ」
マサカツはそう言った。
「さすがマサカツだね、その通りだよ、うーん堆肥が入ると大分違うんだけど」
農道を歩いて進んでいくと見覚えのある人影が目に入った。
「ボッコのおっちゃん!!やっぱり来ていたんだ」
「おお、ヤヒスか、ここは皆働き者でな、色んな種族がおるがみんな真面目だよ」
「おお!王様、良くぞお戻りに」
農作業をしていた民がリャヒの元に走ってきてこうべを垂れる。
「うむ、農地開発の様子が気になってな、それと我ら北人と人間の間がどうなっているか気になってな」
「王よ、我らは仲良くさせてもらっています、戦争を始めようとしていたのがウソのようです、なぁボッコ」
オークの農民はボッコの肩を叩いた。
「ははは、これは良い、我が見たかったのはこう言う光景ぞ」
リャヒは高らかに笑い、自国が少しづつ発展していくのが楽しくて仕方ないようだった。




