199 白球④
ソヴィリバーレ王国とドルガン王国の野球対決は引き分けで幕を閉じた。
「がはははは!!終わってみれば楽しかったな!!」
イエールは上機嫌である。
「惜しかったのう・・・ワシ一人が打てても勝てないもんじゃのう」
「野球はチームプレー、打順も重要だし、先攻後攻も大きく影響してくる、今回は後攻だからチャンスがあったと言うところかな」
フィスとマサカツが話しあっている。
「盗塁は大きいわね、みんな盗塁が成功してそのあとホームランを打てば大量得点になるんだ!」
ヴィーシャは野球の面白さを知ったようである。
そのうち相手チームが出てきて双方握手したり大声で話しあったりしている。
フィスは特に注目が集まり、相手チームがバッティングのコツを聞いたりしている。
「うーん・・・これぞ草野球の醍醐味だねぇ・・・」
マサカツは満足そうな笑顔である。
「おつかれマサカツ」
ヤヒスが肩を叩いた。
「良く考えられた競技だね、誰が考えたんだい?」
「僕はそこまで知らないかな、でも僕の国では野球を知らない人はほとんどいないんじゃないかな」
「そんなに・・・」
「僕のいた世界ではおそらく毎日誰かが野球をしていると思うよ、こんな小さい子までね」
マサカツはそう言って自分の腰あたりの高さを示して見せた。
「これで国が野球を気に入ってくれて毎年開催されると良いんだけど・・・」
ヤヒスは国からの依頼で野球をするはめになったことを思い出していた。




