20 ヤートダンジョン
王都の図書館は広く、利用する人物も多い。
ヤヒス達も図書館に来ていた。
「これがダンジョン、正式名称はヤートダンジョンのマップです」
ミードリが地図を指さしている。
「思ったほど広くないのね、もっと大きいのを想像していたわ」
ヴィーリャは拍子抜けした様子だ。
「目的は経験を積むこととレベル上げ、だから奥まで行く必要はないかもしれないね」
パムがヴィーシャに言う。
「それもそうね、で、出てくる魔物も記載してあるわね、ベビーゴブリン以外にもミドルバットに、ダンジョンラットね、これならいけそうだわ」
「火炎魔法は跳ね返りを気を付けた方が良さそうですね」
ミードリは魔法の用法を考えているようだ。
「暗い中だけど光源はどうするの」
ヤヒスが聞くとパムが答える。
「私が光球を作れば明るくなるから大丈夫だよ」
「へえ、パムは色んなことが出来るんだな」
「得られる情報はこれくらいね」
ヴィーシャがそう言うので本を戻し、四人とも図書館を出た。
「みんな、今日は何を食べたい」
ヤヒスが声をかける。
「私はチキンね、今はおいしい時期なのよ」
「私もチキンでいいですよ、確かにこの時期は脂がのってますから」
「私はキャベツをたくさん食べたい、今のキャベツはチキンと同じで美味しいから」
「じゃあ、チキンとキャベツに他に何か見繕ってくるよ」
そう言ってヤヒスは三人と別れて市場へ向かった。
(確かに型の良いチキンだな、でもウチの村には及ばないな)
彼はそう思いながら市場をめぐる。
キャベツも安く玉ねぎも大ぶりなものが出始めている。
ヤヒスは一通りの買い物をしてパーティーハウスに戻って行く。
「よぉ、ヤヒスじゃあねぇか、」振り向くとイエールがいる。
「やあ、ひさしぶりだねイエール」
「上手くやっているみたいじゃあねぇか、今度ヤートダンジョンに潜るんだって、ありゃあ通過儀礼みたいなもんだからほとんど危険はねぇ、今のお前たちなら大丈夫だ」
「どうしてダンジョンに潜ることを知っているの?」
「冒険者ってのは耳も良くないと商売にならねぇからなあ、色々と聞こえてくるんだぜ、みんな応援しているから頑張れよぅ」
そう言ってイエールは去って行った。
(そうか、情報も武器の一つなんだ、新しいダンジョンや魔物は早い者勝ちだもんな、それにしてもギルドのみんなは気にかけてくれて嬉しいな)
彼は暖かい気持ちになって市場を抜けて路地に出た。




