193 コメ
ドルガン王国を旅立つ日がやってきたので、ヤヒスはバルドルドに会いに行き、マサカツは工房の頭に挨拶に行っていた。
「あなたは別にここに残って発明を続けてもいいのよ」
ヴィーシャはマサカツに話し掛ける。
「ああ、発明の大半は山場を越えたからね、それに技術は継承されなければならないし、破損した時に直せる者が必要なんだ、この先は工房のみんなが自力で進める部分だね」
マサカツはそう言って嬉しそうな顔をしている。
王都ソヴィリバーレに帰ってきて、まず最初に掃除をして、それから夕食になった。
「今日はコメとミソスープにツクダニだよ、焼き魚もだよ」
ヤヒスがそう言うとマサカツが反応した。
普段はのほほんとしているマサカツの目つきが変わり声を出した。
「コメ・・・米があるのか・・・?」
「うん、東方の食材でとてもおいしいんだよ、さあさあたべよう」
そう言ってヤヒスは食卓に夕食を並べる。
「ほ・・・本当に米だ・・・味噌汁の匂いもする」
そして食べる段になると、いつものマサカツらしくなく、カツカツと食を進めている。
「・・・まさか、醤油もあるのかい?」
「ショウユ?・・・ああ、セウユのことだね、まってて」
そう言うとヤヒスはキッチンからセウユを取りだしてきてマサカツの前に置いた。
マサカツは焼き魚とコメに少しセウユをかけて口に運んだ。
「う、うまい・・・まさか和食が食べられるとは・・・コメ・・・」
「マサカツはこの食品を知っているのか?」リャヒがマサカツに問う。
「知っているも何も僕の住んでいた国の主食だよ、米と味噌汁は毎日食べていたよ」
「えぇっ!東方の生まれなの??」
ヴィーシャが質問するとマサカツはそれに答えた。
「僕は神として別の世界からここに送り込まれたんだ、その世界の日本と言う国に住んでいてね、その国の主食が米なんだよ」
「そう言えば、どこか雰囲気が違うとは思っていたけど、別の世界?から来た人なんだ」
ヤヒスが驚いている。
「いいのう、このようにうまいものが毎日だと?うらやましいわい」
フィスがマサカツを見て話しをしている。
「私は食事よりもあなたのスキルの方が気になっていたのよ、理解できたわ、別の世界の技術を取り入れているのね」
「正解だよ、いやぁ、なんか言いだすタイミングを逃しちゃってね」
「僕の国の書物には事故で死ぬと別の世界に行って違う人生を送る、そう言う内容用のものがたくさんあってね、まぁ伝説みたいなものなんだけど、僕がこうしてここに来たと言うことは伝説でもなかったみたいだね」
「どうして死亡されたんですか?」
ミードリが質問したのでマサカツは答えた。
「トラックって言う路地裏の長屋くらいの鉄の塊がチヌックくらいの速度でぶつかってきたんだ」
その様子を想像した全員が青い顔をした。
飯回です
話しに詰まると飯を食わせます。




