191 ハイドラゴン
マサカツを工作工房に残してヤヒス達はクエストに向かった。
それは大分前から要請が出されていたクエストで、他の勇者パーティーもあと一歩と言うところで敗走するしかなかったものである。
坑道が長く使用できないため、ドルガン王国の損失も大きく報酬も吊り上げられていた。
「まぁ普通は討伐しようなんて思う人はいないわよね」
ヴィーシャはクエスト用紙を見ながら言った。
坑道は今まで入ったものと比べて倍ほどの大きさだった。
「産出量の多い坑道でしょうか、大きさが違いますね」
全員揃って坑道内を進んでいく。
魔物はまるで姿を見せず、長い坑道をずっと歩き続けた。
坑内に発掘道具などが無造作に転がっている個所に入ったので、目当ての魔物が近いと感じ全員気を引き締める。
「出たな・・・ハイドラゴン・・・」
ヤヒスがつぶやく。
討伐対象はハイドラゴンであった、相手はのそりと起き上がり余裕と言った表情でこちらを見下している。
「人間など話にならんと言った様子であるな」
リャヒがハイドラゴンを見上げながらつぶやく。
「頼むよフィス」
ヤヒスが言うと、フィスは空中を1回転してレッドドラゴンの姿に戻った。
ハイドラゴンはレッドドラゴンよりも弱い種であるため、魔物は驚愕の表情を見せた。
「それじゃダメ押し」
ヤヒスはそう言うと叫んだ。
「剥離!!」
剥離スキルの効果でハイドラゴンのウロコが全てはじけ飛び、魔物は悲鳴を上げている。
そこにフィスが特大の火炎を吐き出し、ハイドラゴンの全身を覆った、ウロコの無いハイドラゴンはその火炎に耐えられるはずもなく、すぐに塵となって消え、魔石が地面に落ちた。
フィスはポンと言う音共に人間の姿になった。
「ハイドラゴンなぞうろこがあってもへーちょだったが、面倒くさいのも嫌だからのう、やはりマスターの剥離は優秀なスキルだわな」
ヤヒスは魔石を拾い、ポーチに入れて、もと来た道をかえって行き、町に入って冒険者ギルドにむかい、カウンターの受付嬢に声をかける。
「ああ、早いですね・・・ダメでしたか?」
受付嬢は討伐出来なかったと思い込み声を声をかけてくる。
「いえ、これを」
ヤヒスはそう言いハイドラゴンの魔石を出してカウンターに置き、受付嬢はレンズで鑑定した。
「ハイドラゴンの魔石!討伐されたのですね!ありがとうございます!」
その場にいた冒険者はハイドラゴンを倒したことを聞き、なにかぼそぼそと話をしていた。
ヤヒス達は高額の報酬を手にして、ハイクラスなレストランに向かった。




