186 イモウ草原の遺跡③
「うわああああああああ!!」
「しぬしぬしぬしぬしぬ!!」
黄昏パーティーは細くて斜面になった通路を全力で走っていた。
後方からは通路ぴったりの球形をした岩が転がってきている。
「誰か何とかできないの!?」
「岩くらい壊せるが攻撃姿勢を取ったとたん潰されるワイ!」
ドラゴンであるフィスでさえ対応できない状況。
「やってみる!いいか!前方の壁びったりに剥離でスペースを作る!そこにぴったりにはりつけ!この状況じゃ加減が出来ないが行くぞ!!」
ヤヒスは叫んだ。
「剥離!!」
叫んだとたん前方の壁が剥がれ飛んだ。
「入れぇええええ!!!」
ヤヒスが声を張ると各々壁の穴に入りぴったり張り付いた。
岩が通り過ぎて全員穴から抜け出してきた。
「ギリギリだった!ギリギリだった!尻持ってかれたぞ!?」
ヤヒスが振り向くと服の臀部が剥がれて、肉の方は赤く擦り切れている。
「あははははははは!!」
フィスがげらげらと笑い声をあげている。
「おい笑うなよ!!一応マスターなんだぞ!?」
ヤヒスは顔を赤くして怒っている。
他の者は特に異常はなかったが、顔から壁に突っ込んだものは顔面が泥だらけになっていた。
「ッペ・・・口に土が入っているわ・・・」
ヴィーシャがそう言うと同時に聞いたことのある音が聞こえてきた。
「え?もう1個!?」
「これはさっきのが戻ってきたのかと、おそらくすり鉢状の坂で、油断しているとーーー!!!」
ミードリが叫び、全員がもう一度壁の穴に避難した。
「これ・・・いつおさまるのであるか?」
顔を擦りむいたリャヒがつぶやいた。
「この斜度ですと、あと4回は行き来するかと」
ミードリはぐったりしている。
しばらくして球形の大岩は、坂の底で停止した。
「しかしこれでは先へ進めないね」
パムが服の埃を払いながら声を出した。
「む?球体に何か書いてあるぞ、古代語だな、どれ我が杖の翻訳機能で・・・」
リャヒはヤリの先で文字を撫でていく。
「ひっかかったな馬鹿め・・・」
「え?」
ヴィーシャが聞きかえす。
「ひっかかったな馬鹿め、と書いてある」
「クッ・・・腹立つわねぇ!!」
「馬鹿いう方が馬鹿なんだわばーか!!」
ヴィーシャとフィスが岩を蹴り上げている。
「ん?この球体、溝が刻んである・・・あっ階段だコレ!!」
ヤヒスが叫ぶとミードリが天井を見た。
「上に穴がありますね、この階段状の溝はこの穴に入るために刻んであるようです」
「つまり進めるってこと?」
ヴィーシャは天井の穴を見上げてため息をついた。




