185 イモウ草原の遺跡②
「うーーん、ゴーレムを倒したものの入り口が分からないねぇ」
ヤヒスは辺りを見回したが全面草原だらけだった。
「まぁとっくに埋もれているのは予想していたけど、ちょっと何もなさすぎね」
ヴィーシャが困った顔で見渡している。
ミードリはロッドを持ってしゃべりだした。
「あのゴーレムは上空から見た限りきれいな円形を描いて歩いていました、中心に対して半径がほぼどこからでも均等なのが円形です」
ミードリはロッドの先端で円を描いて線を引いて行く。
「だいじな物は中心にある」
パムが円の中心を指さした。
「あっ、そうか、気付かなかったわ」
ヴィーシャは感心したようにミードリを見ている。
「じゃあチヌックで上空から観察して中心に当たる位置で降下しよう」
ヤヒスが提案するとすぐその案に決定した。
「む、この辺りが中心だな、いやもっと右か?」
リャヒは中心を見極めようとしている。
「このくらいで大丈夫よ、誤差の範囲、降りたら何かしら見つかるんじゃないかしら。
「ふむ、地面をつついて感触でも探るか?」
リャヒとヴィーシャの会話で降りる場所が決まった。
「うーん降りてみても何もないなぁ」
ヤヒスが足元を見つめている。
リャヒは槍で足元を叩き、遺跡を見つけようとしているので、ヤヒスもそれにならい剣のさやで地面をたたき出した。
「む?むう?」
リャヒが何度も地面を叩き音を聞き比べている。
「ここに何か硬いものがある!」
その声で全員が各々地面をつついている。
「確かにここから音が違うわ」
ヴィーシャは地面を見つめている。
「さて、見つけたとしてどうするかな?」
フィスは脚をブラブラさせてめんどくさそうな顔をしている。
そこへヤヒスが出てきて言った。
「ちょっと試してみたいんだけどいいかな」
「剥離ね」
ヴィーシャはそう言って後ろに下がり、他の者もヤヒスの後ろに集まった。
ヤヒスは両手を前に出してしばらく顔を伏せている。
「どうしたんだろう、いつもならすぐなのに」
「おそらく細かい作業が必要なんでしょう」
パムとミードリは小声で会話している。
しばらくすると「剥離!!」とヤヒスが叫び「バモッ!!」と言う音と共に地面がえぐりとられ遠くまで吹き飛んで行った。
ヤヒスは地面に座り込み指を刺している、そこには大きな石畳の階段が続いていた。
「そうですか・・・入口を壊さないように精密に作業していたのですね
ミードリがそう言うとヤヒスは頭をこくんと下げた。
「相当疲れたみたいね、しばらく休んでから入りましょう」
ヴィーシャはそう言って自分も草原に座り込んだ。




