183 神と言う存在
「やあ、おかえり」
パーティーホームに帰るとマサカツが出迎えてくれた。
「お留守番ごくろうね、暇してなかった?」
ヴィーシャが聞くとマサカツはそれに答えた。
「とんでもない、この国の図書館はすごい蔵書だね、毎日通って色々調べていたから楽しかったよ」
「そうですよね!蔵書がすごいんですよ、私もいつか全部読み切ろうと思っているんですが全然で」
二人は気が合うようで読んだ本の話しや、オススメの本のことをやりとりしている。
「頭の良いもの同士気が合うんじゃのう、ワシは何を言っているのかさっぱり分からん」
「それで普通なのよ、聞いたことがあるわ、特段知能が高い人はそうでない人と会話がかみ合わないって、でもあの二人は私たちに話を合わせてくれているわ、そう言う配慮が出来るのもまた、頭がいい証拠よ」
「なにかいつもと違う・・・部屋がピカピカしているような気がする」
パムがそう言うとマサカツが振り向いた。
「あっ、気付いた?ワックスを塗ったんだよ」
「ワックス?なんだいそれは?」
ヤヒスが首をひねっている。
「蜜ろうがあったから何かに使えないかと思って、そしたらリャクテン草に適性があって原料を抽出できたから・・・ああごめん、木材などをコーティングして劣化を防いだりつやを出したり出来る液体だよ」
全員が部屋を見て周るとそこかしこが光り輝いている。
「そうですか、蜜蝋は封印や接着に使われていたのですが、希釈するのが困難だといわれていましたがまさかリャクテン草とは・・・」
ミードリはマサカツの話しがおおよそ分かったらしい。
「すごいじゃないマサカツ!こんな光り輝いた部屋は見たことが無いわ!!どこで覚えたの?」
ヴィーシャがたずねるとマサカツはそれに答えた。
「高校の世界史の時間だよ、変わった先生がいてね古代のワックスの歴史を抗議してその後実際に作ろうってことになってね、楽しかったなぁ」
「ほう、そんなすごいことを教える学校があるのか、我が国でも学業に力を入れねばならぬな」
リャヒは腕組をして思案している。
「ふむ、知識は剣を折ると言うことわざみたいだのう、マサカツの知識は今後も役立つだろうな」
フィスがピカピカになった階段の手すりを撫でながら言った。
「色々作れるものを考えているんだけれど、動力源や工作機械の問題もあってね、いまのところは木材や生き物から利用できる道具がせいぜいだね」
「普通の人間だって言うし私たちもそう思っているけど、それだけのことが出来るあなたはやはり神なのだと思うわ」
ヴィーシャがそう言うとマサカツは恥ずかしそうに笑った。




