181 男の友情
ゴールデンベアーの魔石を乗せた武器は、同種の魔物に対して凄まじい威力を見せた。
ミードリのロッドから黄金色のきらめきが洪水となって放たれた。
それは走って来る3体のゴールデンベアーを包むと、魔物は一瞬で塵となった。
フィスはグローブにゴールデンベアーの魔石効果を乗せ、拳ひと突きで魔物を倒している。
楽しくてしょうがないと言う表情で舞うように戦っている。
全員が寸の打撃で魔物を塵へと変えている、突如として大量に湧いたゴールデンベアーは、葉が地に落ちる程度の時間で魔石にかわっていた。
「ふぅ・・・辺りにはもう見当たらないわね」
ヴィーシャは一息ついて木にもたれかかる。
ヤヒスは全員から魔石を受け取り大き目のポーチにしまい込む。
「魔石がもうポーチに入りきらないよ」
ヤヒスの言葉を受けてミードリが言った。
「このくらいにして山小屋に帰りましょうか」
「そうね、十分でしょう」
ヴィーシャがそう言うと全員が山小屋に向かって歩き出した。
見晴らしの良い岩だなの上にヤヒスとリャヒが座って景色を眺めながらお茶を飲んでいる。
「いい景色だのう・・・我が国の国民にも見せてやりたい、だがこれこそが冒険者の醍醐味と言うヤツなのだろうな」
リャヒは涼やかな目をして遠くを見ている。
「ああ、俺も村の連中が見たらどんなに喜ぶかと考えていたよ」
「フフッ、お前もそうか、しかし結合のスキルはすさまじいな、反則的ではないか」
「ああ、うん、でも使いどころでもあるんだけどね、今回みたいに偶然わかることも多くて、魔石便りでもあるからつぶしが効かないとも言えるねぇ・・・」
二人は穏やかに会話している。
「あの二人は妙に仲がいいとおもわんか?」
フィスは菓子を食べながら言った。
「女ばかりのパーティーだったからね、男が加入してヤヒスも嬉しいんでしょ」
ヴィーシャは周囲にいる女性陣を指さして言った。
「マスターは男もイケるクチなのかの」
「馬鹿ね、あれはそう言うんじゃないのよ、ただまぁ農民と王と考えると普通ではない間柄よね」
穏やかな空気が辺りを支配して夕暮れ時まで皆外に出て景色を眺めていた。
夕食が終わって明日の行動方針を2-3話してあとは寝るのみとなった。
「今度こそ我がベッドを取る!覚悟しろヤヒス!」
「望むところだ!昨日の無様な姿をまた見られるかな!?」
「来い!!」
「望むところだ!!」
「さいっしょはグー!!じゃんけんポン!!」
「はははは我の勝ちだ!勝利は気持ち良いのう、ヤヒスは気持ち良くない床で寝るのだな!ははは」
リャヒは満面の笑みである。
「くっそ・・・この悔しさをバネにして明日は勝つ!!」
ヤヒスは腰を落としてじゃんけんの素振りをしている。
「まーたやってるわ、悔しさをバネにってあんなの100%運の要素じゃない、素振りまでして、馬鹿ねぇ・・・」
王と農民の間柄ではあるが、二人の間には確かな友情が芽生えていた。




