180 ゴールデンベアーの魔石
北西の山脈でゴールデンベアーの討伐をはじめたヤヒス達だが、想像していたよりも厄介な相手であった。
「2体来るわ!連携よ!」
ヴィーシャはそう叫ぶと一体のゴールデンベアーに突っ込んでいった。
斬撃で片足を落とし魔物が体勢を崩したところに、フィスが飛び込みゴールデンベアーの頭部をひねると魔物は塵にかわった。
ヴィーシャは即座に周囲を見回し、魔物が発生していないか確認する。
一方でヤヒスとリャヒが魔物と対峙していた。
「結合!ゴールデンベアー!」
ヤヒスはリャヒのヤリにゴールデンベアーの属性を乗せる。
リャヒは瞬歩の勢いで魔物にヤリを突き立てたが、ヤリは何の抵抗もなくゴールデンベアーの腹部に突き刺さり、その瞬間塵となって消えた。
「どうなっているのそれ・・・槍が手元まで刺さって一撃で塵になったわ」
ヴィーシャは驚いている。
「多分魔石の効果だと思うよ、同じ魔物の特性だから対消滅したんだと思う」
ヤヒスは転がっている魔石を拾いながら言った。
「ええ、恐らくそうだと思います、一つのコップに水が入っているとして、それが魔物本体だとします、次に同じ容量のコップに入った水、これは魔石だとします、それを最初に言ったコップに注ぐと当然あふれてしまいます、そう言った仕組みでは無いでしょうか」
ミードリは眼鏡を上げながら説明している。
「ふむ、だとすると剣先で少し刺す程度で魔物は塵になると考えても良いのか?さっきの攻撃ではまるで手ごたえが無く、空気を刺しているような感覚だった」
「そうだったんですか、実感としてあるのでしたら解釈として間違いないと思います」
ミードリは明るい顔をして言った。
「そうなればミードリのロッドにゴールデンベアーの魔石を結合すれば魔法が通じるんじゃないかな」
パムはミードリを見上げている。
「・・・原理としては可能ですね、魔法ではなく魔石の効果が射出されることになりますし」
ミードリはロッドを撫でて考え込むような表情でいる。
「すごいじゃない!ミードリの威力ならまとめて倒すこともできるわ!」
「魔石で魔物を倒して、結合してまた倒す、この繰り返しなら相当の数でも相手に出来る!何せ剣先が少し刺さればいいだけだからね!」
ヤヒスはいつになく興奮している。
「なるほどなあ、要はパンパンに空気が入った皮袋に針を刺すような物か、わかりやすい原理だの」
フィスは足元の魔石を拾い上げて見つめている。
「む、さっそく一体現れたぞ」
リャヒはそう言ってヤヒスを見る。
ヤヒスはうなづいてミードリのロッドに触れる。
「結合!ゴールデンベアー!」




