179 戦略
「まずゴールデンベアー単体の時は前衛の私たちが出る、足を切り落とすのは効果的だったから基本はそれね、リャヒの槍は浅かったように見えたから、今回拾ったゴールデンベアーの魔石をヤヒスが結合して補う、ミードリによるとアイツが両手を上げると広範囲スタンが来るからパムが反射を展開、いえ、その前に足を落とした段階でフィスが首を折るのが理想的ね」
ヴィーシャは地面に絵図を書きながら説明している。
「では単体ではなく群れの場合は?」
リャヒが質問する。
「そうね・・・」
ヴィーシャはしばらく考え込んでいたが、口を開いた。
「複数の時点でパムが反射を展開する、どれがいつ広範囲スタンを放つかわからないからよ、一体は私とフィスが引き受けて連携するわ、次はリャヒとヤヒスが担当、リャヒがまず出てヤリで敵を押さえて、その後にヤヒスが刺突でわき腹辺りを突く、それを繰り返すの」
「なるほどねぇ・・・要は速さが肝になるんだろう?」
「まぁそうね、広範囲スタンを使わせないようにできれば一番いいわ、問題は後衛を守ることよ、回り込まれたらミードリ達が危ないわ、敵を処理したらすぐに後衛を確認すること」
ヤヒスとヴィーシャが戦闘の要領を話しあっていたが、日が傾いてきたので山小屋の中に入って食事をした。
「ん~~~ゴツゴツしてるんだよ王の身体は、だいいち身長が高すぎてベッドに収まっていない!赤ちゃんみたいな体制で寝るから俺の領域がすごく狭くなるんだよ!」
ヤヒスはリャヒに文句をたれている。
「仕方なかろう、それとも床で寝るかね?」
「この場合君が床でしょう!?デカいんだから!」
「なに!王に床で寝ろと申すか!」
「なーにをキーキーやってるのよ、どっちもベッドで一人で寝たくて、どっちも床で寝るのが嫌なんでしょう?」
「「そうだよ!」」
「そんな時はコレ、よ」
そう言ってヴィーシャは拳を握りしめた」
「暴力はちょっと」
「野蛮であるぞ」
ヤヒスとリャヒは真剣な目をして答えた。
「じゃいくわよ~~」
「「最初はグー!じゃんけんポン!」」
「いぃよっしゃぁあああ!!」
パーを出したヤヒスが勝利して、グーを出したリャヒが敗北した。
「ぐっ・・・我が敗北するとは・・・無念」
リャヒはそう言って床に寝そべり毛布で顔を覆った。
男なら誰しもこう言った経験があるであろう、ここまで明確に勝敗が決まる方法も無いはずだ、明日はどちらが勝利するのか、それは誰にも分らないことである。




