18 ミドルマンティス
パーティーハウスに戻ったヤヒスはパーティーメンバーに「剥離」スキルのことを話して聞かせた。
「確かに書物では乖離スキルのことは出ていましたが、まさかヤヒスさんに出現するとは」
ミードリは眼鏡をなおしてそう言う。
「要するに物をはがせるんでしょ?面白いスキルね」ヴィーシャが面白そうにしている。
「何に使えるかって言ったら答えられないけど・・・」
「いろいろ試せばわかってくると思う」パムは落ち着いた様子で声をかけてくる。
(そうだなぁ、時間がかかるかもなぁ)
ヤヒスはそう思った。
「さて今日はミドルマンティスの討伐のクエストよ、コイツはミドルアントよりちょっと手ごわいから注意してね」
ヴィーシャは剣をぽんぽんと叩いて言った。
街から出て草原地帯に出ると一体のミドルマンティスが目に入った。
「あちらもこっちに気付いた、注意して」パムはそう言うと補助魔法をかけた。
ミードリが火炎魔法をミドルマンティスに放つ。
「ミドルアントよりも効いてるわ、チャンスね」ヴィーシャは駆け出してミドルマンティスの頭を斬って落とした。
「いつもの連携で大丈夫そうだわ、他にも探しましょう」
ヴィーシャの号令でみんな動き出した。
その日は8体のミドルマンティスを倒すことが出来た。
「上出来よ、私たちもそろそろ駆け出し冒険者を脱する頃かしらね」
ヴィーシャは上機嫌である。
「ゴールドも溜まったんだろ、剣を新しく買ったらどうなんだ」
ヤビスが声をかける。
「あなたまだわかってないのね、この剣の性能は中級クラスレベルの冒険者が持つ物に匹敵するわ、それにせっかくあなたがスキル付与してくれた剣だから愛着があるのよ」
「そう、あなたがいなければ私たちはミドルマンティスも狩れずに、安宿で寝泊まりしていた、感謝しているよ」
パムが頭をさげた。
「さぁとりあえずお風呂ね、パーティーホームに帰るわよ」
一行は街路を進んでいく。
帰り着くとヤヒスは食事の支度にとりかかる。
その間に他の面々は風呂に入っている。
(この生活にもなじんで来たけど、戦闘に参加できないのはいまいちうしろめたいなぁ、でもまぁこうして食事を出したり、荷物持ちしたりするのは案外好きなんだよな)
ヤヒスはそのようなことを思いながら夕食を作っていった。