172 大河ヨコウ
王都ソヴィリバーレは先の神による破壊で損耗していたが、急速に回復が進み、人出も以前と変わらないほどになっていた。
「復興してきたから遺跡の探索に出てもいい頃じゃないか?」
フィスはソファーに寝そべってヴィーシャに話し掛けた。
「確かにそうね、ミードリとも遺跡の下調べを続けて来ていたし、そろそろ現場に出てもいい頃よね」
「じゃあ、買い出しに行ってくるよ」
それを聞いていたヤヒスがホームを出て行った。
「ヴィーシャの話を聞いていて、望むことがあれば即買い物に出て行く、出来た旦那様だのう~」
フィスはヴィーシャとヤヒスの仲を冷やかしている。
「そんなんじゃない・・・付き合いが長いだけ・・・」
ヴィーシャは顔を赤くしてぼそぼそとつぶやいている。
「ウッシッシッマスターはやらぬぞ、ワシのもんだからな」
それを聞いたヴィーシャはフィスの頭をぺちぺちと叩いている。
食事の後でダイニングテーブルに地図を広げて行先を検討している
「この、大河ヨコウの周囲は今は土獏となっていますが、過去は森林地帯だった様な記述のある書籍が見つかりました、そしてこの古地図にも・・・かすれて読めませんが何かの絵図か文字のあった痕跡が見られます」
「太古から水は重要だからね、大河のある所には文明が栄えるのは半ば常識だね」
マサカツがそれらしいことを言う。
「うむ、水が無いと生きてはいけぬからな、国の繁栄には最重要な要素だ」
リャヒはさすがに王だけのことはあり、良く心得ている。
「じゃあ、明日出発するからよろしくね」
そう言って解散となった。
翌日、朝からチヌックで飛びヨコウを目指す。
「ヨコウが見えてきたぞ、さて地図の位置にはまだ先があるけど遺跡を見つけられるかどうか・・・」
ヤヒスが大河を見下ろしてつぶやいている。
「チヌック、もう少し低く飛んでくれ」
「は、我が主」
「この辺りなはず・・・」
パムはミードリと地図を見て言った。
「どの程度遺跡の形が残っているかだな、細い線のような程度に残っていたとしたら高さの具合で見逃しかねん」
リャヒは身を乗り出して遺構を探している。
「とりあえず地面に降りましょう」
ヴィーシャの指示をヤヒスがチヌックに伝えると、滑らかに降下して河岸に降り立った。




