171 特許
新しく仲間になったマサカツは自分の国で使われていた計算機を作り上げ、この世界の常識を塗り替えようとしていた。
「この国には特許ってあるのかな?」
マサカツがヴィーシャに聞いている。
「特許・・・?あぁ、あの発明品を登録する制度ね、あるわよ、うん?あの計算機を特許申請するつもりなの?時間かかるわよ」
「うん、場所を案内できる人はいるかな?」
「私が案内できるけど、ヤヒスが言った方が話がはやく進むわ、アイツあれでも有名人だから」
ヤヒスとマサカツは街路を歩いている。
「君の国の計算機を特許登録するの?」
「そうなんだ、真似されたらお金にならないからね」
色々とマサカツの国のことを話しながら行くと、官庁の特許窓口にたどり着いた。
「すいません、特許を申請したいんですけど」
ヤヒスが声をかけると面白くなさそうに職員が振り向いた。
「はいはい・・・とああ、もう図面と様式があるのね、じゃあここに名前と住所を書いて」
そう言われてマサカツは用紙に記入した。
「あ~~申請受け付けないことが多いからね、悪いけど」
職員の態度は良くない。
そこに別の男が現れて、ヤヒスの顔を怪訝な表情で見つめたかと思うとハッとした表情になった。
「こ、これはヤヒス殿!この度は特許の申請ですか!?」
「俺ではなくて、友人の彼なんだ」
ヤヒスはマサカツを手で示して言った。
「おい!申請はちゃんと受けたのか!?」
職員はどなられて狼狽している。
「え、ええ、受けましたし受け付けないこともあるし時間がかかるとも説明しました」
「なにを言うのかね!最短で処理したまえ!」
どうやら上司と部下の関係で、上司はヤヒスのことを知っているらしい。
「いや、失礼しました、申請は受け取りましたのではい」
「そうですか、ありがとうございます、では」
そう言って二人は踵を返して官庁を出た。
「ヤヒスは本当に有名人なんだね」
「うん?そう言われればそうだね」
「そうか、先の神を倒したのは君だったよね、それで有名でもあるんだ」
市場の近くに来た時にマサカツがヤヒスに言った。
「ちょっとボロ市見ても良いかな?」
「うん、いいよ、俺もボロ市好きなんだよね」
「わけわからないものがあるしね、ははは」
「実は先の神を倒したのはボロ市でタダでもらったものなんだよね、だから無価値そうに見えても役立つものがあるかもって思って」
二人は楽しそうにボロ市に入って行った。




