170 計算機
マサカツが奇妙な木工品を作り出し、ミードリが読み上げる数字をそのリズムに合わせてパチパチとはじきだした。
「ミードリさん、計算が出来たから検算をお願いできるかな、時間がかかると思うけど」
マサカツはそう言って、数字の書かれた紙を渡した。
ミードリは計算を進めていくがそれなりに時間がかかり、ようやく計算が完了して検算を終えた。
「合っています・・・この数字は間違いないです、この計算はその木工品で答えを出したのですか?」
ミードリの手が震えている。
「それは何ですか・・・?」
彼女は驚いた顔をしている。
「これは僕の国の計算機です、使い方を身に付けると今の何十倍もの速さで計算できます」
「し・・・信じられないです、画期的な発明です!これは計算に革命がおこりますよ!?」
物静かなミードリが大きな声を出して興奮している。
「使い方を教えてください!」
「もちろんです!」
二人は何やら難しいことをやり取りして他のことは耳に入らない様子だ。
「なんぞわからん」
フィスがぽかんとしている
「ミードリがあんなに興奮している、良くわからないけどこれはマサカツのスキルなんじゃないかな」
しばらくすると自室に戻る者やソファーでくつろぐ者などが現れ、二人は放っておかれた。
夕暮れ時になった時ミードリが大きな声を出した。
「出来ました!!」
「うんうん、何度か試したけどもう間違いないね、しかしこんなに短期間で身に付けた人を見たことが無いよ・・・」
マサカツはにこにこしている。
「ヴィーシャさん!この計算機はやはり画期的です!世に出回るべき製品です」
ミードリが計算機を手にして喜んでいる。
「さて、あとは木工職人と話をつけてどのくらいの歩合で商売にするかだね」
マサカツは口に手を当ててぶつぶつ言っている。
「もう商売の話しに入っているの・・・短期間過ぎるわ」
ヴィーシャがそう言っていると、キッチンに立っていたヤヒスが声をかけてきた。
「さて、もうすぐ夕飯だよ、テーブルを片付けてくれないかな」
そう言われたミードリとマサカツはソファーに座り、何やら難しい会話をはじめていった。
「次に考えているのはコレなんだけど」
マサカツが図面をミードリに見せると、彼女は困惑している、夕飯が盛り付けられる頃になってミードリは声をあげた。
「分かりました!!これは物と物を締結する道具ですね!この切り欠きがこちらの切り欠きに合わさって横への力が垂直に変換されている!!」
「はぁ~ミードリは本物の天才かもしれないよ・・・とにかくいずれこれも量産する、両方が軌道に乗れば僕は何もしなくてもお金が入って来ることになる」
夕飯を盛り付けていたヤヒスは何が何だかわからずポカンとしていた。




