166 式典の前
神と言う厄災を乗り越えたソヴィリバーレ国は、勇者パーティーとしての黄昏を式典で称えようとしていた。
「めんどくさーい」
ヴィーシャは両手を上にあげてふらふら踊っていた。
「うむ、なんかもう王族に関する出来事は嫌である」
リャヒはソファーにひっくり返って天を仰いでいる。
「めんどくさい人~・・・」ヤヒスが問いかけると全員が手を上げた。
「断れねぇかのう」
フィスがそう言うと、ミードリが話しを進めた。
「ギルドの行事や町が主催する行事なら断れますが、国が招いた行事にそっぽを向くと確実に何らかの圧力があり、ここで自由に暮らせないかもしれませんよ」
全員揃ってため息をつく。
「それでいつ頃開催予定なのかな?」
パムの質問にヴィーシャが答えた。
「半月後よ・・・はぁ~正装を設えなきゃ、女子は全員テーラーへ行くわよ」
そう言って女性陣はホームを出て行った。
「ヤヒスは正装を設えなくていいのか?」
「うん、以前作ったのがあるからね、君はどうなんだい」
「この場合は最初に我が着ていた衣が良かろうな」
「あっそうだったね」
夕方ごろにヴィーシャたち女性陣が戻ってきた。
「どうだった?」
ヤヒスが質問するとヴィーシャがけだるそうに返事をしてきた。
「国の行事だからってテーラーも張り切っちゃってもう、店のこけんに関わるとか言って何度も布や飾りを選んでもう、ああでもないこうでもないと・・・」
「はーもう、ワシは普段着で良いのだがテーラーの者が同じく店の看板ですからってなぁ」
式典までの2週間は全員で図書館にこもって遺跡や、用途のわからない建物、あやしげな伝説をしらべてまわった。
「黒服の、多分あの神であろう記述がちょくちょく出て来るわね」
「今までまるで注意していませんでしたからわかりませんでしたが何度か現れているんですね」
ヴィーシャとミードリが本をてらし合わせている。
「どうにもあの神は、この世界の災害や難事を食い止めようとしていたみたいだね」
「ふん、何にしろ神であったのだな、当初はこの世界の苦境やら大事などを食い止める役割だったのだろう、だがそれが長すぎた、本人の言うように飽きたのだろう、神のヤツは苦痛になっていたんだろうて」
ヤヒスとフィスは神の立場について議論していた。
そして式典の日、ホームでは正装に着替えた黄昏パーティー一行が集まっている。
「え~~すごく面倒くさいと思いますが、普段のガサツな自分を隠し通し無難に式典を終えることを我々は誓います」
「「「「お~~・・・」」」」
ヴィーシャが手を上げてだるそうに言い他の者はそれに答えた。




