164 神殺し
ヤヒスは圧倒的に不利な状況で神との戦いに挑んだが、一秒時計と加速装置を結合させ、神の体内にそれを埋め込んだ。
「髪が抜けていく・・・真っ白い髪だ・・・」
神はその場に立ち尽くし震えてる。
「もうすぐ寿命を迎えるぞ、何か言う残すことは無いか?」
ヤヒスの言葉は神に届いていない。
神は遂に膝をつき、顔はしわだらけになった、自分の身体を抱きしめぜぇぜぇと呼吸している。
しばらくすると神は地面に転がり、目を向いたまま呼吸をが止まった。
「寿命が尽きたか」
ヤヒスはそう言うと一秒時計と加速装置を神の身体から剥離し、昏倒している仲間を一人ひとり目覚めさせていった。
全員がよろよろと歩き出して、集まって地面に座り込んだ。
「どうなったの・・・神は」
ヴィーシャがヤヒスに質問している。
「寿命が尽きて老衰で死んだよ」
「どういうことなんだ」
フィスが続けて質問してきたので事の経緯をすべて説明した。
「なるほど、不死の身体であっても不老ではないと言うことだったか」
リャヒは腕組みをして遠くを見つめている。
「一秒時計と加速装置の組み合わせにそんな効果があったなんて想像もしませんでしたよ」
ミードリは驚いたような顔をしている」
「しかし、神を殺しちゃったのだけれど、この先どうなるのかな」
パムは不安そうな表情を受かべる。
「まずは復興だ、我が国も立てなおさねばならんし、ソヴィリバーレもあのありさまだ、いそがしくなるだろう」
「俺は故郷がどうなったか確かめに行こうと思う」
ヤヒスは真剣な表情をしている。
「しばらくは冒険者も休業ね」
ヴィーシャがため息をつく。
一行は他の勇者パーティーの手当てをして、チヌックでソヴィリバーレに戻って行った。
「とりあえず寝たい・・・」
ヤヒスの言葉に全員が賛同して、各々寝室に入って行った。
夕方ごろに目ざめたヤヒスは集めておいた食材で夕食を作り始めた。
しばらくするとヴィーシャがおりてきて洗面所に向かい、その後にパムとミードリが続いて降りてきた。
夕食が出来るころには全員が揃い食卓を囲んだ。
「大したものは出来ないけれど食べてくれよな」
全員が十分まともな食事だと言って、食べ始めている。
「はぁ・・・しかし面倒なことになるからね、あの神のヤツは全地域に戦闘状況を見せていたと思うわ、私たちの顔が知れ渡ってしまうのよ」
ヴィーシャが首をひねりながら言うのを聞いて、ヤヒスもまたしゃべりだした。
「ギルドに何とかならないか相談してみようか・・・」
ヤヒスはそう言って頭をかいた。




