163 神⑥
神と相対じた黄昏パーティーはヤヒスとヴィーシャ以外全員倒れ伏していた。
ヴィーシャはインテリジェンスソードをヤリの形に変化させ、突進で顔面と心臓を何度も刺し貫いた。
神が反撃をしようと手を動かしたのを見て、ヴィーシャは即座にバックステップで距離を取り、ヤヒスが死角から肩に剣をめり込ませて、すぐに離脱した。
「君たちはなかなかやりますね、私でなければ即座に死んでいる」
神はそう言うとヴィーシャの前に一瞬で現れ、彼女を蹴り飛ばした、瓦礫と化した舞台をヴィーシャは転がり、地面に叩きつけられた。
「ヴィーシャ!!」
ヤヒスが叫ぶと神はにこにこと笑いながら言った。
「最後ですよ、もう終わりにしましょう、少々疲れました、見ていましたがあなたはこの集団の中で一番弱い、もう終わりです。
ヤヒスは自分が負けて各地が蹂躙される様子を思い浮かべた、黄昏パーティーで楽しくやっていた時のこともだ。
(何か引っかかる、何かが・・・俺のスキルはなんだ・・・考えろ!!)
ヤヒスは思考に沈んだかと思うとゆっくりと目を開けた。
そのままヴィーシャに近づき、生きているのを確認して、ポーチから何かを取りだした。
「待たせたな、神とやら」
「さて運命はこの先どうなるんでしょうね」
「それは俺たちとお前のどちらを言っているのかな」
しばらく沈黙が続いたのちにヤヒスがポーチに手を入れて叫んだ。
「加速装置!」
ヤヒスの身体は一瞬にして神の目の前に移動した。
「速く移動しても無駄ですよ」
神がそう言うかどうかの内に、ヤヒスは結合のスキルを使った。
「結合!加速装置!一秒時計!」
ヤヒスは叫び、神の身体に両手のひらを揃えて叩きつけた。
「・・・格闘技ですか?くだらないですね」
神がそう答えるとヤヒスは鋭い目つきで話し出した。
「お前は不死と言ったな、だがその後で何千年も生きていることを強調した、不老の人間ならそんなことは言わない、当たり前だからな、不死と言ってはいるがお前には寿命がある」
「それが何か?あなた方が死んでその子孫が何代も続いても私の寿命は続きます」
「何の意味もないと思っていた一秒先に進める一秒時計、負担が大きすぎて使いどころに難がある加速装置、それらを組み合わせてお前の体内に結合した、この意味が分かるか?加速された一秒が高速で進んでいるんだよ」
「何を世迷言を・・・」
神は余裕の表情を崩さない。
「手を見てみろ」
ヤヒスは神に言い放った。
「・・・これは!!手にどんどん皴が出来ている!?どういうことだ?」
「さっき言っただろう、たったの一秒先に進む魔道具と高速で移動できる加速装置、合わされば時が恐ろしく速い速度で時が進む作用をなす」
ヤヒスはそう言って神を見下ろしていた。




