160 神③
神が5組いる勇者パーティーを自分と戦わせて、勝つことが出来たら破壊活動をやめると宣言してから3日、神と勇者が戦う時が訪れていた。
王都ソヴィルバーレには数えるほどしか住民がいなくなっていた、皆ソヴィリバーレが爆破されることに恐れをなし、各々別の都市に避難しているのである。
「腐らない食料はもらってき放題だけどなんだか気が引けるな、あともう腐敗臭がひどくて、生鮮物を置いていた市場には行かない方が良いね」
ヤヒスは芋や玉ねぎなどの保存のきく食料を集めて来ていた。
「図書館も誰も居ません、ここの所図書を調べていたのですが、神と言うのはそれぞれの国であがめる宗教的な神の情報しか拾えませんでした」
ミードリが本を片手にため息をついた。
「もう少しで始まるみたいよ、神と勇者の戦い」
ヴィーシャが外から声をかけてきた。
全員外に出てそれぞれ拾ってきた椅子に腰かけて空を見ている。
「おっ、出たぞ」
フィスがお茶を飲みながら指をさす。
「あれ?勇者パーティーが3組しかいないよ?」
ヤヒスがそう言うと、ヴィーシャはそれに答える。
「逃げたのよ、にげたの、他のも無理やり連れてこられたとかそんな所じゃない」
しばらくすると神の声が聞こえてきた。
「このように勇者パーティーは3組しか訪れませんでした、しかし私は怒りません、誰かがまた勇者になるかもしれませんからね、はははは」
そこから先がもたもたしていた、どの組が最初に挑むか、くじ引きだのなんだのと進まないのだ。
ようやく最初のパーティーが歩み出る。
補助魔法、前衛二人での攻撃、後発魔法、そのような流れで突っ込んだが、前衛二人の剣が神を袈裟懸けにし、頭部を割った。
舞台の上ではどよめきが起こり、剣を抜いた男たちが笑っている。
しかしヤヒス達は笑ってはいない、あのような攻撃がみじんも通用しない相手がいることを知っているから。
「これが勇者の力かね?」
寸断された神の身体から声が聞こえ、一瞬で斬られた身体が元に戻った。
その後のらくらと歩き出した神は、勇者パーティーの身体をちょいとつついて周り、全員昏倒させた。
その後、昏倒した身体を宙に浮かせて舞台脇へ積み重ねた。
「ふーん・・・殺さないのね」
ヴィーシャがつぶやく。
「フフフフッ矜持とやらがあるのだろう、強者に挑んできた者は殺さぬとか何とか」
フィスが薄ら笑いをしている。
「フッ、生死感がイカれてるんじゃないか?」
ヤヒスは怖い目で神を見つめている。
そうこうしているうちに二組目の勇者パーティーが舞台に上がった、その瞬間にパーティーの前衛がスキルを最大にして連発し、神の身体をばらばらに寸断した、その後全員が距離を取り、動向を探っていたが、一瞬で再生した神に後ろを取られて昏倒させられた。
次は最後の3組目である。




