148 バーダーの岩窟①
北人をまとめ上げている国王であるリャヒが黄昏パーティーに戻り、パーティーハウスは一段とにぎやかさを増していた。
ミードリはダイニングテーブルに古い地図を広げて北西にあたる山岳地帯の一部を指さしていた。
「ここも前回と同じように古い地図には記されていますが現代の地図には書き込まれていない箇所です、何やら文字が書いてありますがかすれて読めませんね、しかし山岳のダンジョンである可能性が高い場所です」
「ふむ、うん・・・?この場所は以前我が国が隠れ家を築いた場所ではないか?」
リャヒは地図をトントンと指先で叩きながら言った。
「えっ?・・・あぁ!あの時の!」
ヤヒスが声を出すと全員が「あっ」と言う顔をする。
「あの場所はな、我が国の古い地図にも記されておってな、名はバーダーの岩窟とされていた、調査させたときは奥にまだ長く続いているとの報告があって、それならば将来的に砦に出来るだろうと兵を置いたのだ」
リャヒは腕組みをして何か思い出そうとしているような表情になった。
「そのバーダーの岩窟について少しでも良いのだけれど情報は無いの?」
ヴィーシャがリャヒに問いかける。
「うむ、何か邪悪な者が封印されているとの口伝が残っていただけだ」
「十分よ、悪い何かがそこにある、あなたの国で地図に記されて口伝でも残っていると言うことは、いずれまたその威力を振るう可能性があると言うことになるわ」
「滅ぼさねばならん」
フィスはいつになく真剣な目つきで地図を見つめて言った。
「それにしてもあなたたちは、そんな危険な場所をなぜ砦にしようとしたのかな」
パムがリャヒの目を見つめて言った。
「う、うん・・・恥ずかしい話だがあの時は謀反を起こした先の大臣が、戦に強行的でな、口伝などくだらぬと一笑に付していたのだ、我はそのころ大臣の指示に従うばかりでな、自分で言うのも情けないが傀儡だったのだ」
リャヒは暗い顔をしている。
「お人好しと言うのか、信じやすいと言うのか・・・だけども俺たちが城に乗り込み、大臣を引きずり下ろしたあと、君の部下はすぐに武装を解いて、許しを請うのではなく厳罰を求めた、あれは君に人徳があったからこその流れだよ」
ヤヒスはリャヒの肩を軽くたたいて笑顔を見せた。
「とにかくよ、明日にでもあの場所へ行って調査する必要があるわ」
ヴィーシャが腰に手をやって声を出した。
「うん、じゃあ多めに色々な食料を仕入れてくるよ」
ヤヒスはすぐに玄関に向かった。
「コメだコメ!あれを買ってきてくれよ」
フィスが大声を出し、ヤヒスは手を振って心得たと言う合図を送った。




