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147 北人(ホクジン)

砂漠に埋もれた都市、コスタカンから戻って1か月が過ぎた、その間ミードリが図書館で遺跡に関する本や、いかがわしい伝説などの図書を借りてきて、紙にまとめて地図も制作し、新たな冒険への準備を整えていた。


特にやることもない昼下がり、ホームのドアをノックする者が現れた。


「はいはい、いま行きますよ」

ヤヒスがドアを開けるとそこには庶民的な服に身を包んだリャヒの姿があった。


「やあやあ、みんな、戻ったぞ」

リャヒが玄関に入るとフィスが椅子から跳ねて、玄関に着地した。

「うりうり、帰るのが遅いんだよぉお前は」


彼女は嬉しそうな顔でリャヒの腹を肘で小突いている。

「おかえりなさい、もう国は良いの?」

ヴィーシャがペタペタと歩いて来る。

「うむ、大臣はひじょうに優秀でな、もう教えることが無くなったわ」


「大丈夫ですか?また謀反が起こったりはしないでしょうか」

ミードリは困惑した顔をしている。


「ははっ、あの様子を見てまた謀反を起こそうと考えるものがどこにいるか、ろくな抵抗もなく全員逃走したのだぞ」

「はははは、そのとおりだ!」

リャヒはフィスと手のひらをパチパチと叩き合わせている。


「ソヴィリバーレや他の国との友好度合いは?」

パムも後からやってきて質問している。


「うむ、やはり希土類が大きく作用してな、ドルガン王国が積極的に整備を進めている、要はドルガンが希土類を輸入して、加工、それを各地に輸出する、一番の友好国であるソヴィリバーレに優先的に回し、ソヴィリバーレは我が国の食料事情を向上し、希土類の速やかな産出を助けると言う、三国益状態だな」


「そうか、うまいこと回るようになったものだね」

ヤヒスがリャヒの手を握ってほほ笑む。

「ああ、ヤヒスの村からも農業指導に来ておるぞ!」

「ほんと!?嬉しい限りだなぁ」


「ああ、そうだ、我々はこれまで魔物と呼ばれ、国自身も個を定義する言葉を持たなかった、そこで協議のうえで北人ホクジンと呼称するようになった」


「ふーん・・・北に住む人ってことね、安直ね、でもそれで良いのよ、大層な由来を冠するよりも、他人が受け入れやすい、わかりやすい名前が一番よ」


「うむ、そう言ってもらえると嬉しい限りだ」

リャヒは腕を組み満足そうだ。


「お前、その背中の長いのはなんだ?」

フィスが問うとリャヒは背中の布包みをダイニングテーブルに置いて布を広げた。


「あ、あの時の槍!」

ヤヒスが大きな声を出した。

「ジェネティックアイテム・・・」

ミードリは槍に見入っている。


「ミードリよ、そのジェネティックとはいかな物であったかな」

リャヒは槍を撫でながらミードリを見つめた。


「ごく簡単に言えばあなた方一族の限られた者にだけ強大な力を与える武器です」


それを聞いた後リャヒは柔らかい笑みを浮かべた。


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