146 コスタカン③
コスタカン内を探検していたヤヒス一行は食事フロアらしきものを見つけたのでそこで持ってきた食料を食べることにした。
「この黒くて硬いパンもチーズを合わせるといけるな」
フィスがお茶を飲みながら食事の話題に触れた。
「ライ麦だね、痩せた土地でも育つし保存がすごく効くんだ、だけど硬いから年寄りや子供は食べるのに苦労するね」
ヤヒスは元農家なのでこう言った農業に関する知識も豊富に持ち合わせている。
「じゃあプルツ国の農業指導はライ麦を植えるところからになるのかな」
パムがヤヒスに問いかける。
「うん、土壌にもよるのだけれども、この間見てきた感じだとライ麦が主になるだろうね」
「そうだったな、リャヒのヤツがまだ戻ってないんだったわ、はやく国が安定すると良いのう」
フィスは何かとリャヒのことが気になるようだった。
「さて、もう戻りましょう、ヴィーシャがそう言うと全員揃ってあるきだした。」
パムのマーキングで最初に入ってきた出口に戻ってきた、外は青空が見える。
「もう朝になっていたのね」
ヴィーシャが斜面を登りながら目を細めていった。
砂の斜面なので全員苦労して登り切ったが、フィスだけは軽く2-3回跳躍して穴から外に飛び出した。
「よし、この穴を隠そう」
ヤヒスの一言で全員が岩塊や石くれを持って積み上げて、最後にフィスが持ち上げてきた大きな岩を乗せて入り口をふさいだ。
「パム、ここのマーキングはどのくらい稼働するの?」
「魔石に込めた魔力の程度だと20年位は機能するね、定期的に取り換えればいいよ」
「眠いなぁ・・・」
ヤヒスがつぶやくとみんなそれぞれにそれに賛同した。
そのような状態なので、早々にチヌックの背に乗りソヴィリバーレに向かって飛行していった。
ホームに帰ると全員砂まみれのため、まず風呂を沸かすことにした。
「うー・・・砂漠の砂は海の砂より細かいんだな、あとなにか全体的にぱさぱさするぞ」
フィスが口をまげて髪を振りながらつぶやく。
「砂漠は乾燥しているからですね、顔も髪もカサカサになりますし、当然日焼けもします」
ミードリがフィスに話し掛けた。
「そーうなのよね、砂漠は肌が痒くなると言うのか、全体的にカピカピだからあまり好きじゃないわ。」
ヴィーシャはしぶい顔をしている。
しばらくするとヤヒスが買い物から戻ってきた。
「今日はもう面倒だからこのあいだのスケロク買ってきたよ、それとこれはザクロの保水液だって、砂漠に行ったと話したら市場で分けてくれたんだ、お風呂に入った後に顔や体に塗ると良いとか」
「ナイスよ、疲れているし乾燥しているしでみんな参っていたのよ」
ヴィーシャは椅子から立ち上がりヤヒスから小瓶をもらった。




