142 謀反④
謀反の張本人である大臣は牢に入れられることとなり、大臣に従っていた兵士たちは自ら断罪を受けることを国王としてのリャヒに望み出た。
「断罪?それは何人すればよいのだ?全員か?ただでさえ先の戦で国民が減っているのだ、この国を丸裸にするつもりか!?愚の骨頂!!」
リャヒは叫んだ、いつの間にか大勢の兵士が王座の間に詰め掛けていた。
「お前たち、相互に家族を人質に取られていただろう、片方が従わねばもう片方の家族を殺すとかどうとか、そのような脅しだ」
「そ、そのとおりでございます・・・」
兵士の誰かが小声で答える。
「ふむ、咎は無しだ、だいいち我が国には全員を入れる牢が無いからな、そのまま普段の持ち場に戻れ」
リャヒは笑顔になり、ヤリで床をコンコンと叩いた。
兵士たちは各々持ち場に散っていった、中にはすすり泣きをする者もいる。
「うまく収まったみたいだね」
ヤヒスはリャヒに声をかけた。
「ああ、心配をかけたな、父祖の槍で救われたよ、しかし何が起こったのだろうか」
「ある種の遺伝的形質を持つ者が力を注ぎ、同じく遺伝的な形質がつながっている者に反応する武器でしょう、ジェネティックアイテムなどとよばれる物です」
ミードリが槍についての簡単な説明をしてきた。
「つまり先祖伝来の・・・みたいな武器と言うことなのかな?」
パムがそれらしいことを言ってきた。
「ああーなるほどわかりやすい」
ヤヒスはこめかみのあたりを指でぐりぐりといじっている。
「それで、これからどうするの?」
ヴィーシャがリャヒに話し掛けた。
「うむ・・・しばらくは政務から離れられんだろうな、今の副大臣に引き継ぎをせねばならぬし、色々であるな」
「その様子だとまた戻ってくる気があるようだな」
「あなたドラゴンはもう良いの?」
フィスとヴィーシャの会話である。
「あの格好だとみんなおびえてしまってなぁ、ワシも逆に居心地が悪くてこの姿に戻ったのさ、さてリャヒよ、お前はまた黄昏のパーティーに戻るつもりだな」
フィスは意地悪そうな声で話している。
「ふぅ、心を読まれたな、ははは、まぁ1か月くらいでパーティーホームに戻れるようにするよ」
その後城の前で待機していたチヌックに乗り、リャヒを見下ろす。
「王様に、高い所からすまないけれど俺たちはソヴィリバーレに戻るよ」
ヤヒスが手を振っている。
「なにパーティー黄昏の一員だからな、なにを遠慮することがあるか、今回は助かった、また会おう」
リャヒは笑顔でヤヒス達を見送った。




