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136 一秒時計の使い方

ヤヒスとヴィーシャは修練場で剣の稽古をしていた。

カンカンと木剣の音が鳴り響き、お互い良い勝負に見えるが、ヴィーシャは手を抜いている状態である。


次第に追いつめられるヤヒスが片手をポーチに入れて、もう片方の手で木剣を振るった。

ヴィーシャの木剣が下方にスライドして、ヤヒスの木剣がその切っ先をヴィーシャにつきつけられた。


「・・・一秒時計の一秒は剣技では状況を左右する」

「たかが一秒でも剣を反らすくらいは出来るものね」

ヤヒスとヴィーシャは肩で息をしながらヤヒスの取りだした一秒時計を見つめていた。


「本物の魔道具ってわけね、今のは訓練で使っていたからうまく機能したけれど、実戦はどうかしらね」

「これが5秒とかなら大きなアドバンテージなんだけど」

ふたりはあれこれと戦闘での使い道を話しあっている。


「なんだ、あの一秒時計とやらは本物だったのか」

「そうみたいですね、でも図書館で調べても見つからなかったんですよね、似たようなアイテムもありませんでした」

フィスとミードリが訓練の様子を見て話しあっている。


ヤヒスとヴィーシャが歩いてきて話し掛ける。


「あら、来ていたのね、どうだった、ミードリ?」

「見つかりませんでした」

「そう・・・」


「裏に銘も入っていないんだよね」

ヤヒスは時計を取り上げて裏返している。

「何でもうまい使い道が見つかったんだろう?ならいいじゃないか」

フィスが会話に入って来る。


「ま、そうね」

ヴィーシャはそう言って柵にもたれかかった。


「これはヴィーシャが使う?」

「いいえ、ヤヒス、あなたが使うと良いわ」


「ま、みっけたモンが持つべきだわな」

「そうですね」

フィスとミードリもヴィーシャの意見に賛成のようだ。


四人は修練場を後にして、パーティーホームに戻った。


「おぉ、戻ったか、して結果はどうであったか?」

「本物だったよ、戦闘でならうまく使えるかもしれないよ」

「それはすごい」

ヤヒスはリャヒとパムを相手にしながらソファーに座り込んだ。


「リャヒは最近、熱心に本を読んでおるが、どんな内容かの」

「ふむ、フィスよ、この国の歴史と政治に発展に関する本だな」


「ああ、そう言えば王だった」

「王だったわね」

「王でしたね」

「王だった」

「忘れておったが王だな」


「む・・・なにか失礼な空気を感じるぞ」


「そ、そんなことないよ、だいぶなじんできたなって言うことを言ってるのさ」

ヤヒスは取り繕い、その場はなごやかに過ぎていった。





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