14 モーグラー
ヤヒスたちはビソル村へ向かう馬車にゆられていた。
(馬車だと楽が出来ていいな、徒歩は疲れるんだよな)
そう考えていると
ヴィーシャがクエスト用紙を見ているのが目に入った
「明日の村ではモーグラーの討伐クエストが出ているわ、その先ではミドルビーの巣を破壊するクエストね、これはミードリの火炎魔法で楽勝よ」
彼女は楽しそうにしている。
その日は夕暮れまで馬車を急がせ、野宿することになった。
みんな干し肉とスープを食べている。
「遠出するのは初めてだけど結構疲れるわね」
ヴィーシャはしぶい顔をしている。
「野宿は久しぶり」パムはいたって普通だ。
「ミードリはもう寝ているのか」
「彼女は寝るのが早いの、たくさん寝た方が魔力の回復が早いんだって」
ヴィーシャがそう言いながら剣を研いでいる。
「私たちも寝た方が良い」パムが毛布にくるまったので、ヤヒスたちも寝ることにした。
朝日で目覚めると昨夜の残りで朝食を作る。
その内にみんな起きてきて毛布を畳んだりしている。
「久々の野宿は身体にクるわね・・・」
ヴィーシャがしかめっ面でつぶやいている。
他の二人も似たような様子だ。
朝食を食べて馬車に乗り込み、田舎道を行く。
「そろそろクエスト依頼のある村ね」ヴィーシャが言う。
「例のモーグラーの討伐かい」
「そうよ、村人も困っているみたいだから早く行ってあげたいわ」
馬車は田舎道を進み、クエスト対象の村に到着した。
ヤヒスは村人に声をかけてモーグラー討伐に来たことを伝える。
しばらくすると村長がやってきてこう言った。
「奴らが出るのはあの東の畑です、農作業が出来なくて困っているんですよ」
「まかせてちょうだい、すぐに討伐するわ」
ヴィーシャは得意げだ。
「あんな得意げに言って大丈夫なのか」
「モーグラーは犬くらいの大きさの魔物なの、ミドルアントに比べれば大したことないって話よ」
(それなら大丈夫か、俺も安心して見ていられるな)
畑に向かうと土から顔を出したモーグラーがたくさんいる。
まずパムが補助魔法をかけ、ミードリが火炎魔法を放ち、広範囲のモーグラーにダメージを与える、そこにヴィーシャが斬りつけて行く。
モーグラーは剣での一撃でほぼ死亡している。
ヤヒスは魔石集めに奔走する。
やがて見る限り全てのモーグラーを殲滅した。
全員座り込むとヴィーシャが言う。
「取りこぼしがあるかもしれないから、昼食がてらに暫く観察していましょう」
昼食を済ませ、また観察していたが、モーグラーが出てくる気配は無かったので、村の方に戻った。
「討伐完了しましたよ」
ヤヒスが村長に言うと村長が礼を言い、そこでまた旅路に戻った。
「想像以上に数が多かったですね」ミードリが言う。
「魔石もどっさりだし美味しいクエストだったわ」
しばらくしたら日が暮れだしたのでその日も野宿することになった。