129 ワハイでの休暇
リャヒは自身の祖父が使用していたという、槍を装備することを望んだため、坑道内に落ちていた折れた槍を、ヤヒスの結合で修復して使用することになった。
ヤヒスの結合スキルは、修復した物の性能が修復前よりも大きく向上する特性があるため、戦力として期待できる。
ドルガン王国に来てクエストをこなしはじめてから一週間が経過していた。
大型の魔物や、精神攻撃系の魔物との戦闘も、パムの補助魔法と、ヤヒスの剥離スキルのおかげで、大きく苦戦していると言うことは無い。
「ふぅ・・・キリが無いわね、この国は300以上の坑道があるけれど常にどこかで魔物が湧いているわ、ずっとここで訓練を兼ねたクエストをしても飽きが来るわ」
ヴィーシャが町のベンチに座ってしゃべりだした。
「うむ、我も戦闘がルーティーン的になっているとは感じていた、実力がついているのだとは思うが、他の連携も試したいと思っていたところだ」
リャヒが顎に手をやって考え込んでいる
「やる気があっていいね、でも根を詰めるのも良くないしね」
パムがリャヒの腰をポンポンと叩いて言った。
「では他のダンジョンに潜りますか?東に来ているので西の山岳地帯とか」
「今ならどこの地域に行っても連携で何とかなると思うよ」
ミードリとパムも場所を変更することに前向きなようだ。
「・・・いろいろあったわね」
ヴィーシャが目を細めてつぶやいた。
「そうだのう、ワシが加わってからもいろいろ行ったわい」
フィスは腕を頭の後ろで組んで足を投げ出した体制でそう言った。
「そう、あなたが加わってからこっち、魔王軍・・・いえ、魔王軍ではなかったのだけれども、ずっと戦ったり気を張っていたと思うのよね」
「つまりどう言うこと?」
ヤヒスの問いにヴィーシャが答える。
「バカンスが必要なのよ!」
「ああ、ワハイですか、海に行くのは良いですね」
「そうだね海はいいね」
ミードリとパムはすぐに意図を理解したようだ。
「リャヒ、海とはなんだ?」
「うん?我も知らぬことだな」
フィスはリャヒに話し掛けている、王だから知っていると思ったのだろう。
「海ってのはものすごく大きな湖みたいなものなんだよ、それでそこで取れる魚とかカニって言う生物がどれもすごくおいしいんだ、水の上に家があって景色も最高で疲れをいやすのに最適なんだよ。
「「行ってみたい!」」
二人は同時に大きな声を出した。
「まぁそう言うわけでホームには戻らずここからワハイの海まで行こうと思うのよね」
全員が賛成の意をあげて明日からワハイの町まで行くことになった。




