128 槍の装備
ウォーキングボーンは死者の骨と言うわけではなく、魔石を核として骨の形に形成された魔物である。
だが、人骨そのものなためにクエストをためらう冒険者もすくなくはない。
ヤヒス達は誰も気にしていないので、ウォーキングボーンを倒すのに支障はなかった。
戦闘では全員火属性の魔物を結合で武器や身体にまとわせている。
アンデットは押しなべて火に弱い。
「ふん!、おりゃ!」
リャヒはショートメイスを振り回してウォーキングボーンを粉砕している、骨は隙間が多いので、この場合はメイスの面攻撃の方が有利なのだ。
「リャヒも戦闘になれてきたようね」
魔物の槍攻撃をいなしながらヴィーシャが言った。
格闘で縦横無尽に魔物を破壊しているフィスも思うところがあるようで、リャヒの背中に回っている。
「リャヒ、なかなか良いぞ!背中は任せておけ!」
「うむ、かたじけない!」
ミードリの火炎は坑道全体を覆う威力なので、大量にウォーキングボーンを倒すことが出来る。
「ふぅ、もう魔物が湧かなくなってきたわね」
ヴィーシャは坑道内を見回して一言発した。
「こんなところかな」
パムは魔石を拾いながら撤収の意を見せている。
「リャヒも良くやったの、活躍しとったぞ」
フィスが声をかけるとリャヒが地面を見つめて黙っている。
「なんだいリャヒ、気になるものでもあるのかい?」
ヤヒスが声をかけると彼は地面に落ちていた折れた槍を拾い上げた。
「御爺様は槍の使い手だった、玉座にもいまだにその槍が掲げられている、私もどうせなら槍で戦えないかと思ってな」
「なるほど、思い入れがあるんですね」
ミードリの言葉にヴィーシャが賛同した。
「良いんじゃない、槍を扱っても、思い入れがある方が士気が上がるし大事にすると言うものよ」
「ふむ、では槍を買うとするか」
リャヒが折れた槍を捨てようとしたのを、ヤヒスが止める。
「まってまって、俺のスキルで修復しよう」
「そんなことが出来るのか、器用であるな、だが新品をあがなう方が良いのではないか」
「ヤヒスの結合スキルで修復したものは以前より攻撃力も耐久力も上がるのよ」
ヴィーシャがリャヒに話しかけている。
「なんと・・・それはすごいな、さっそくやってもらおう」
リャヒはヤヒスに折れた槍を手渡した。
「結合!」
ヤヒスが槍を結合すると折れた部分が繋がり元の形に戻った。
「うぅーむ・・・これはすごいスキルだな」
リャヒは槍を構えてつぶやいた。
「マスターは稀有なスキル持ちだぞ、そんじょそこらの冒険者とは違うわい」
フィスはからからと笑った。




