13 魔子
ミードリが紙をテーブルに広げると皆が覗き込む。
そこには何らかの絵や、魔法陣のようなものが書かれていた。
「まず、結合そのものの意味は合わさって一つになることなの」
「そのままの意味じゃない」
ヴィーシャが言葉を返す。
「そこから先が重要なの、知っていると思うけどこの世の全ての物が魔子で出来ているの、目に見えないものね」
(俺、全く知らなかったな)
ヤヒスがそう考えているうちにもミードリは先を続ける。
「ヤヒスさんのスキルは、魔子のレベルからくっつけて、さらに成分も変えてしまう可能性が考えられるの」
「修理スキルとどうちがうの」
ヴィーシャが問いかける。
「そこなの、修理スキルは元あった状態に戻すスキル、結合は見えないレベルで合わさって別のものとも言っていい状態にしてしまうの」
ミードリ以外はよくわからないと言う顔をしている。
「うーん、くっつけてそれそのものを変化させる?」
ヴィーシャが怪訝な顔をする。
「そう、そんなイメージね」
ミードリは嬉しそうな顔をした。
「つまり、これまでと変わらない扱いで良いと」
ヤヒスが問う。
「そうですね」とミードリが返事をかえして来る。
「今のまま、これまで通りやればいい」パムも納得したようだ。
次の日、午前中のクエストを終了して冒険者ギルドに行くと、受付嬢から手紙を渡された。
「ビソル村からのお手紙が届いていますよ」
それを手に取りその場で読んでいく。
村中大騒ぎなこと、何年も食べるに困らないこと、とにかくみんなが驚いていることがわかり、最後に近いうちに帰ってこいと記されていた。
(そりゃあ騒ぎになるよなぁ・・・しかし一度帰ってこいと言われるとは、パーティーを一時的に抜けることになるのかな)
そう考えているとヴィーシャが話し掛けてきた。
「どうしたのよ、悪い知らせ」
「いや、良い知らせだよ、だけど近いうちに帰ってこいと書いて有って」
「ふーん、じゃあ私たちも一緒に行くわ、道すがらのクエストもあるかもしれないし、そろそろ足を延ばしても良いころだと思っていたの」
「え、そうなんだ、じゃあそれでいいならパーティーで里帰りできるな」
「じゃあ明日の朝一番の馬車を手配をしてくるわ」
「え、早すぎるよ」
「善は急げよ」
そう言ってヴィーシャはどこかへと消えて行った。
ヤヒスはその日、町中をめぐって村人への土産を買って走るはめになった。