117 スキル無効化のダンジョン
ヴィーシャは冒険者ギルドの掲示板を見て声を出した。
「この依頼一か月も前から貼りだしているけど誰も受けない理由があるのかしら」
「スキル無効化のダンジョンと書いてありますね」
ミードリが内容を読み上げていく。
「スキル無効の?じゃあ魔法も補助魔法も使えないじゃない。」
ヴィーシャ達が話をしているときに受付嬢が話しに割り込んできた。
「普段は多くの人がスキルを多用して戦闘をしています、多くの方がダンジョンに挑んだのですが、スキルが使えないことはかなり戦闘の幅を狭めるので、まだだれもクリアできていないのです」
「Aクラス冒険者が挑めばいいじゃない」
「Aクラスの方は報奨が大きいか、名をあげるのに最適かどうかでなければ下位クラスのクエストは受けないのですよ」
「これ、受けるわ」
ヴィーシャがクエスト用紙を見せて言った。
「新規に発掘されたダンジョンで王都からも近いんだろう、なんで急にそんな場所にダンジョンが」
ヤヒスが疑問をもらす。
「たまに小さな遺跡が発掘されたり、無作為にダンジョンが出現することがあるのよ、大体すぐ攻略されるんだけど今回のはスキル無効の特殊な例だから攻略されていないのね。」
やがて森の中にそのダンジョンを見つけた。
遺跡や、洞窟の類ではなく、新規に建設されたような比較的きれいな洞窟だった。
しばらく外観を調べているとフィスが何かを見つけたようで声をかけてきた。
「これをみてみろ」
フィスが指さすとダンジョンの目立たない部分にこぶし大の意匠が付けられていた。
「・・・魔王軍の紋章!」
ヤヒスは声をあげる。
「よくこんなの見つけたわね」ヴィーシャがフィスに声をかける。
「ワシは人間よりもカンが働くからの、これはダンジョンと言うよりも魔王軍の基地のような物だろうな」
「・・・さて、どうする」
「ミードリ、パムは気を付けて、ヤヒスなら剣の腕は十分よ」
中に入ると、広間が広がっていたがそこから先は細い道になっていった。
ヴィーシャは大剣を持って扱いづらそうに言った。
「ショートソードを持ってくればよかったわね、大剣だと戦いにくすぎるわ」
彼女がそう言った途端に大剣は片手のショートソードに変化した。
「な、なにこれ!?大剣が小さくなったわ!」
「インテリジェンスソードの能力ですね、おそらく持ち主の意思で形を変えるのでしょう」
ミードリが珍しそうに見ている。
「それ、ハンマーや斧にもできるのかな」
パムがそう言うとヴィーシャは剣に意思を込めた。
はたして剣は斧に変化し、その後また片手のショートソードに戻った。
「すごいわねこれ」
ヴィーシャはがつぶやいた。




