114 西の街道をつぶせ④
魔物の隠れ家に突入するため、岸壁を進んだヤヒス達は、先行していたフィスが、戦闘を行う音が聞こえたため進む速度を速めていき、隠れ家に突入した。
全員が魔物の気配を探りっていると、フィスが現れた。
「ワシが全部片づけておいたわ、おそかったな」
「さすがだね、ここまでは想定通りだ」
ヤヒスがそう答えていると周囲は明るくなり始めている。
そのまま北へ続く街道を進み、ある程度来た時点でタイガーとホルンヘッドの属性を剥離した。
「ふぅ、半分魔物になってのは妙な気分だったけど、驚異的な身体能力向上はすごかったわね。」
ヴィーシャが腕や足を見て言っている。
「この街道・・・近い時期に作られたものではありませんね、伐採の跡がありません」
「どういうこと?」
ミードリとパムがやり取りしている。
「・・・ずっと以前からどこかの国や亡びた文明が切り開いたものだと言うことかしら」
「ええ、情報が無かったことを考えると、何年も前になると思いますが」
ヴィーシャとミードリはこの街道の成り立ちについて考察している。
「とにかく進もう、全員このローブをまとってくれ」
ヤヒスがローブを手渡していく。
「こんなものでごまかしがきくのかのう?」
「いぜん出会った魔王軍に付いていた者はローブをまとった男と接触したと言っていた、つまり人間体でもローブをまとっていれば味方だと、魔王軍が判断する可能性がある」
全員ローブを見にまとい顔を隠して街道を進んでいく、半日ほど歩いて行くとオークの集団がやってくるのが見えた。
「いいか、ギリギリまで戦闘を避けるんだ、やり過ごせるならそれが一番いい」
全員沈黙したままオークたちと正面からまみえたが、彼らはヤヒス達をちらりと見ただけでそのまま通り過ぎた。
「これはローブをまとった人間が少なからず魔王軍に組みしている証拠にもなるわね」
ヴィーシャが言った。
「あの一団は隠れ家の人員との交代要員でしょう、半日来て接触、夕方には魔物が異変に気付きます、報告のために戻るとしても私たちが先行している分、先にある魔王軍幹部施設には情報が流れないと見ていいでしょう」
ミードリがつぶやいている。
「これ、長さはどのくらいなのかしら?」
ヴィーシャが言った。
それからまた時が経過したところで、魔王軍の物と思われる、要塞が見えてきた。
「いよいよ、見えたな、フィスがドラゴン体で壊滅させたあとチヌックに乗って戻り、要所要所で各人街道に面した岸壁を破壊してまともに通行できないようにするぞ」
ヤヒスがそう言うとフィスはドラゴン体に変化した。