113 西の街道をつぶせ③
まだ夜も明けきらぬ頃にヤヒス達は朝食を取っていた。
「きのうあなたが作っていたこのオニギリってのもおいしいわね、ウメボシと相性最高だわ」
「わかる、コメは冷えてもうまいんだな」
ヴィーシャとフィスは朝から食欲が旺盛なようだ。
「んむんむ・・・ごくん、だけどどうやってあの岩壁を登って隠れ家までいくの?
「私もそれは疑問でしたが、どうするのですかヤヒスさん」
パムとミードリが疑問をぶつけてくる。
「ああ、それならこれだね、ホルンヘッドの魔石とタイガーの魔石、全員分あるよ、ホルンヘッドは岩肌を飛ぶように登るからその属性、タイガーは暗くても目が見えるからその属性さ」
「え?その属性さ、て言うことはもしかして私たちに結合させるつもりですか?いやですよそんなの」
ミードリの雲行きが怪しい。
「剥離で戻れるよ?」
「一時的にでも半分魔物になるのはいやですよ、気持ち悪いです」
「きもちわるい!?もしかして俺のことそんな風に見ていたの!?」
「・・・いえおもっていません」
「間があったなぁ・・・」
「うーんしかしヴィーシャとパムも嫌なの?」
「戻れるんでしょ?だったら平気よ」
「気にしていないよ」
「そうか、なら俺がミードリを背負うよ、今はミードリの方が身長が高いけれど、結合すれば身長が伸びるし」
「ではそれでお願いします」
ミードリがほほ笑み眼鏡が光った。
「それでフィスはどうするのよ?」
ヴィーシャがフィスの頬をつついている。
「なんだワシか?ドラゴンだぞ?いわばデカいトカゲだな、この身体でも岩肌なぞへーちょだし、熱感知もできるからの」
「そう言うことらしいよ」
ヤヒスは笑いながら答えた。
「じゃあ行くわよ、手はず通り最初にフィスが隠れ家に飛び込んで、中を掻きまわす、これで多分片が付くわ、その後に私たちも乗り込んで撃ち漏らしがいたら片付けて、街道の方に入ったら剥離で元に戻す、いいわね」
ヴィーシャの声に全員静かに答える。
「お先するぞ!」
フィスは岸壁を踊るように登って行った。
「私たちも」
ヴィーシャの号令で全員岸壁にとりつく。
(よし、タイガーの目があるおかげで先の方まではっきり見える・・・っとおお?なんだ?岸壁に垂直に近い立ち方ができるぞ!?普通に階段を登るのと同じ感覚だ、すごいな・・・ホルンヘッドもタイガーも隠密に最適すぎる)
しばらく進むと上の方から物音が聞こえてきた
「フィスがやっているわね、続くわよ」
ヴィーシャは素早く岸壁を登って行った。




