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107 辺境の山脈

王都から出立して三日目、ヤヒス達は人気の少ない辺境地域に入っていた。


「風呂に入りたいな」

フィスがふくれっ面をしている。

「フィスも風呂の快感を覚えちゃったか」

ヤヒスがフィスに向かって言った。


「そんなの私達だって同じよ、ホームが快適すぎるのよ」

ヴィーシャがそれに答えている。

「あそこは一度利用すると冒険に出たくなくなる」

パムはぼそりと言った。


チヌックでしばらく空を行くと山脈が大きく見えてきた。

「ここらで降りよう」

ヤヒスがそう言ったので、チヌックは下降して全員をおろして、鷹の姿になった。


「チヌック、頼みがあるんだけど」

「何でしょう我が主」

「山脈を飛んで魔物がいないかと、隠れ家のようなものが無いか調べてきてくれないか」

「おおせのままに」


チヌックは大空に羽ばたき、やがて見えなくなった。

「お昼ご飯にしましょう、良い時間帯だし」

そう言われてヤヒスは荷物を降ろし鍋や魔石コンロなどこまごましたものを取り出した。

「今日はスープキューブにしようか、日持ちはしないけどスープに入れると柔らかくなる肉があるんだ」


「なにそれ豪華じゃない」

ヴィーシャが調理する様子をのぞき込んでいる。


「はらが減ったの、なんだかいい匂いもしてきたし」

フィスが寝転がりながら言った。


「これは東方で取れるコメと言うものを乾燥させたものでね、スープに入れると絶品だと言うので買ってきたんだ、一杯のスープで満足できるそうだよ」


やがてコメと肉で煮込んだスープが完成し、全員分よそいつけた。


おそるおそる口にしていく面々だったがすぐにかき込んでいった。

「うまいのう!これはうまい!」

フィスが嬉しそうな声を出している。


「これ・・・コメって言うのがすごくおいしいわ」

「何でしょう、スープとの馴染み方が絶品ですね」

ヴィーシャとミードリがやりとりしている。


「パムはかつかつと食器を鳴らし夢中で食べている。


全員食べ終わり、片付けをしていると、チヌックが飛んできてヤヒスの肩にとまった。

「我が主、報告いたしますか」

「いや、君も食事しなよ」

そう言ってヤヒスは干し肉を与え始めた。


チヌックはあらかた食べ終わると報告をしてきた。


「山脈の中腹、森林地帯との境に魔物の隠れ家を確認しました、中までは確認できませんでしたが、見張りが五名付いております、また、巧妙に偽装された細い街道が森林地帯を北へ伸びておりました」

「その街道は、魔物が何人広がって歩ける広さだ?」

ヤヒスがチヌックに問いかける。

「は、オークが二名、ゴブリンであれば三名と言ったところです。


「本当に辺境に魔王軍が展開する準備をしていたなんてね。」

ヴィーシャは山脈を眺めてつぶやいた。

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