11 ボロ市
ボロ市とは破損したり使えなくなったガラクタが売られている市場だ。
そんな物に価値を見出す人間が、いるのかと思えるような品ばかりだが、人通りはそれなりにある。
「いざ探してみるとなかなか無いね」ヤヒスはそうつぶやく。
「そうね、本当に価値がないからかもしれないわね。
しばらくすると目的の物にめぐり合った。
「これこれ、折れたショートメイス」ヴィーシャは露店の前でしゃがみ込む。
「おじさん、これいくらですか」彼はそう言った。
「この折れたメイスか、50ゴールドってとこかな」
「は?これが50?30でしょ」とヴィーシャは値下げを迫る。
「ふん、じゃあ30でいいよ」店主はごくあっさりと値段を下げてきた。
30ゴールド支払うと疑問を投げかけられた。
「そんな折れたメイスを何に使うんだ」
「修理屋に持ち込んでみようと思ってね、値打ちモノかも」ヴィーシャはメイスを手にして言う。
「以前出物があって以来ボロ市をのぞいてるの」ミードリも付け加えて話す。
なるほどと納得した店主はまぁ当たるといいなと言った。
納得したようだ。
「今まで買ったことなんてない」とパム。
「違うわよ、これをヤヒスが接合するのよ」
「そう言うことだよ」
ヤヒスはパムに声をかける。
一行は、パーティーホームに戻ってきた。
先ほど購入した、折れたショートメイスをキッチンテーブルの上に置く。
「さて結合するか」
ヤヒスはそう言うと、折れた面を合わせて手をかざす。
「まって、この状態での性能を見ておきたいわ」
ヴィーシャはツールレンズを取り出して、性能を見る。
「攻撃力1で耐久値が3ね、本当のゴミだわ、30ゴールドでも高いくらいだわ」
「ダンジョンに落ちている剣でも探せば良かったかしら」ミードリが言う。
「私達にはダンジョンはまだ早い、それに探す手間の方が高くつ」
パムはそうつぶやく。
「よし、じゃあ結合だ」
ヤヒスはそう言うと結合スキルを使用した。
折れたメイスが光り輝き結合する。
「うまくいったみたいだな」ヤヒスがメイスをツンツンとつつく。
「じゃあ鑑定ね」
ヴィーシャはツールレンズを取り出して覗き込む。
「攻撃力15に耐久値が50、良いじゃない、結構な代物よ」ヴィーシャが喜んでいる。
「そうだね、ほとんど攻撃をしないと思うから十分頼もしい武器だよ。」
ヤヒスはそう言って笑った。