10 武器
全員でリビングで朝食をとっているとヴィーシャが話し出した。
「ねぇ、今日の討伐はミドルアント15体に挑戦しない」
「大丈夫なの?」
ヤヒスが聞きかえす。
「剣の調子もいいし、昨日の戦闘でも余裕があったわ、それにレベルも上がってる」
確かにレベルアップはしているがヤヒスは少し不安である。
朝食を食べ終わると、4人はミドルアントの討伐に出かけた。
いつもと同じ戦法で戦っていく。
ヤヒスの出番は無さそうに思えた。
ところがヴィーシャがミドルアントにやられて怪我をしてしまった。
比較的浅い傷に血が染み出している。
「ヤヒス、ポーションを!」ヴィーシャが叫ぶ。
「待って」ヤヒスはそう言うと、ヴィーシャの傷口に手を当てた。
「結合」
ヤヒスがそう叫ぶと彼女の傷口が塞がり、出血も止まった。
「うそ・・・治癒師意外に怪我を治せるスキル持ちがいるなんて」
ヴィーシャと他の3人は驚いた顔をしている。
「これも結合で傷をふさいだの」ヴィーシャが聞いてくる。
「うん、もしかしたら出来るかと思って」
ヤヒスは笑顔で答える。
その後、体勢を立て直し、ミドルアント15体の討伐に成功した。
ギルドに戻る道すがら、ヴィーシャが話し掛けてくる。
「いい、傷が治せるのも口外しちゃだめよ、多分ろくなことにならないわ」
「そうか、冒険者の君がそう言うんならその通りなんだろうね」
ヤヒスはそう答えてギルドに向かった。
ギルドで報酬を受け取ると市場で
買い物をしてパーティーホームに戻る。
全員疲れているのですぐに風呂を沸かす。
全員が風呂から出たら、ヤヒスが料理をしだす、すぐにいい匂いが立ち込めてくる。
全員がテーブルに着くと、食事を進めて行く行く。
「ねぇ、ヤヒスの結合ってどういうスキルなの、どういう風に作用するの」
ヴィーシャが聞いてくる。
ミードリがそれに答える。
「この世のおよそ全ての物に魔子が存在します、それがあるから様々な技術や自然環境、魔物でさえも存在し続けられるのです」
「それは誰が見つけたの」パムが聞いてくる。
「高名な学者が発見して、術式で証明したそうです。
「簡単に言えば結合スキルは、魔子の何かを組み替え、整えて結合し、強固なものに変えているのではないかと」
「想像以上にわけのわからないスキルだったわね、でも大まかには分かったわ」
ヴィーシャはそう言うとお茶を飲んだ。
翌日、4人はまたミドルアントの討伐に挑んでいた。
(彼女たちの動きがだんだん良くなっている気がする)
ヤヒスは眺めながらそう思っている。
ミドルアントの討伐に成功した一行はそのままギルドに向かい、報酬を受け取る。
「最近調子がいいみたいね」受付嬢がにこやかに話し掛けてきた。
「レベルもアップしたし、荷物持ちが増えて楽だからよ」
ヴィーシャもにこやかな顔をする。
冒険者ギルドを出るとミードリが言った。
「ヤヒスさんにも何か武器を持ってもらった方が良いかもしれませんね」
「それもそうね、今後厳しいクエストに向かうとなれば、必要になるわ。
彼女たちがそう言うので、ヤヒスは提案した。
「だったらボロ市に行って良いかな?」
「え、新品を買えばいいのに」パムが首をかしげる。
ヴィーシャは気付いたようで。
「良いわね、さっそく行きましょう」
その一声でボロ市に行くことが決まった。