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邪に堕ちし神達の番 〜復讐の焔は、世界をも焼き尽くす。〜  作者: ぷん
第五章 エーレ聖王国編
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第五十八話 それぞれの役割分担

次回の更新は月曜日です!

俺達は酒場を出て宿に戻った。


「ねむーい…」


酒で酔ったディナが、俺に膝枕を要求してくる。

仕方なく、俺は彼女を膝枕する。

しかし、神でも酒を飲むと酔うのか?

因みにエルフなど謂わゆる亜人に属する種族は酔いに強いらしい。


「ふぅー、流石に疲れたな。」


ベッドに腰を掛けながら、そう呟く。

剣を壁に立てかけ、ソファーに淑やかに腰を掛けてアルレイヤも「そうですね…」と言葉を返す。


「しかし…様々な情報が手に入ったな。」


屍の使徒。

闘神士…プレイアンデル姉妹。

叛逆の神女の居場所。

その他にも色々な情報をあの酒場で手に入れた。


その中でも有力な情報もあった。

現在、勇者国は半月に一度行われるという勇者国会合が開かれているらしい。

その関係でエーレ聖王そと征服王は五勇士を連れてこの国を離れている…と。


その話を耳にした時は、なんて都合の良いだろうと思った。

そうなると案外、動きやすくなるかも知れないな。

やはり、情報というのは重要だな。


少しベッドで横になる。

酒場で食べた料理の中で少し辛めのものがあった。

その所為で口がピリピリする。


「甘いもの、食べたいなぁ…」


あ、そういえば…と。

予め宿に置いていた、魔導具である皮袋を取り出す。

その皮袋を見て、アルレイヤが話し掛けてくる。


「リュートさん、それは何ですか?」

「これは、遺跡で手に入れた皮袋でな。どうやら、古代の魔導具らしい。」

「古代の…もしかしてその魔導具は…キビシスの皮袋ではありませんか?」


ん?

なんだそれ…初耳だ。

そもそも、名前とかあったのか。


「すまん、なんだそれ?」

「かつて古の魔女が作成したとされる古代魔導具の一つです。噂によるとその袋は持ち主がその時に求めていた物が手に入ると言われています。」

「なるほどな…」


確かに、俺はあの時。

飢餓を満たす為に食料を欲していた。

だから、有り得ない地球の食べ物が現れたって事か?

しかし、一体どういう原理なのだろうか。


それはさておき…

皮袋に淡い光が放たれる。

どうやら、アルレイヤの噂は本当らしい。


「アルレイヤ、甘い物は好きか?」

「はい、好きですが…」


ふっ。

折角だ、現地の人間にも体験してもらおう。

俺達の世界の食べ物の破壊力をな。



ーー


「今回は、いちごパフェ、バナナパフェ、オレンジパフェか。」


フルーツの甘い香りが部屋に漂う。

ディナはバナナパフェ。

俺は、オレンジパフェ。

アルレイヤは、いちごパフェ。

それぞれ食器に入って、出てきた。

何というか、あまりにも便利すぎないか?


「甘い香り…これは一体、なんという食べ物なのですか?」

「その赤いのは苺って言ってな俺達の世界では大人気のスイーツさ。そして、その苺の旨みを最大限に引き上げたデザートだ、食べてみろよ。」


苺の香りを嗅ぐアルレイヤ。

物凄く興味深そうに観察する。

ごくり、と息を呑む。

スプーンを使って、苺とスポンジケーキを一緒に巻き込み口に入れた。


同時に、俺も食べ始める。


バナナとスポンジケーキをスプーンで掬って口に入れる。

濃厚で甘い、バナナの感触。

優しく柔らかいスポンジケーキ。

うん、美味い。

パフェなんて元の世界でも滅多に食べなかったな。

こうして食べてみると、美味いもんだな。


「美味いなこの、ばななぱふぇというやつは!」


ディナは、満足そうにパフェを食べている。


「こ、これは…」


アルレイヤは、口にスプーンを突っ込んだまま固まっている。


「お、美味しすぎる…」


ぱく!ぱく!

と、よほど気に入ったのか休む間もなくパフェを口に運ぶ。

そして、全て食べ終わると物足りなそうな顔をして此方を見る。


「お気に召したか?」

「これは…私の知っている食べ物の常識を変える美味さですよ!?リュートさん達の世界では普段からこのような物を食べているのですか?」

「まぁ、な。」


そこまでか…

まぁでも確かに、この世界の料理水準はとても高い…とは言えない。

そんな彼女が異世界の食べ物を口にすればこうして驚くのも無理はないか。


「そんなに、美味かったのか?」

「……ええ、破壊的に。」

「それは何よりさ。物足りない顔をしている所、悪いが…もうないんだ。俺としても普段からこれが食べれるならそうしたいが…まぁ、原材料が有れば作れるけど。」


いや、待てよ?

此処は異世界人の文化が色濃く根付く勇者国。

もしかしたら、そう言った馴染みの深い器具が備わっているかも知らない。

そうすれば、作れない事もない。


「が、取り敢えずはこのキビシスの皮袋に頼るしかないな。」

「しかし興味深いですね」


アルレイヤは、キビシスの皮袋を凝視する。


「見てみても?」

「ああ、構わんよ。」


失礼します、と言って皮袋を手に取り観察する。

別に勝手に取っても良いんだけどな、やはり礼儀正しい。


「やはり、一見するとただの皮袋としか思えませんね…よもや、キビシスの皮袋が食料も出す事が出来るとは…」

「ああ。だが、その魔導具のお陰で俺は飢え死にする事がなかった。本当にいい拾い物をしたよ。」


あの遺跡の事を思い出す。

あの死骸との出会いがなければ、こんな思いも出来なかった。


「それに、この容器もとても美しい…」


パフェが入っていたガラスの容器を手に取る。

美しいガラスの容器に彼女の顔が反射し映し出される。


「これは、なんでしょう…」

「硝子さ。」

「硝子…あのような代物をここまで繊細に作れるのですか?」


硝子は、知ってるんだな。

そりゃそうか、この世界に居るなら少なからず異世界の文化には触れてるだろうし。



「凄まじい技術ですね…異世界の技術は、やはり素晴らしい…本当に、綺麗です…」


グラスを眺めて、そう呟いた。

そのグラスに映るアルレイヤの姿は、とても美しかった。


「美しさで言ったら、アンタも負けてないぞ。」

「なっ…!?何を言っているのですかッ!?」

「照れる事は無いさ、アンタなら言われ慣れてるだろ?」

「それはッ、そうですが…ここまで面と向かって言われると…それに、貴方に…ッ!」


顔を真っ赤にして、アルレイヤは毛布を被ってしまった。


あの反応…

少なからず、俺に好意があるのか。

これは、都合が良い。


「我はどうだ?」

「ああ、お前も綺麗だよ。」


ーー


暫くして。


俺達は今後の展開について話し合っていた。


「今後の展開としては…」


叛逆の神女の居場所を突き止めること。

大まかな位置さえ分かれば、後はどうにかして辿り着ける。

魔物との戦闘をなるべく避けたい。

それに、当てもなく闇雲に探すのはちょっとな。


「やはり鍵を握るのは…あの2人だ。」


目的の居場所を知っているとされる、最強の闘神士姉妹。

あの酒場でのやり取り…

アレは確実に知っている。

痛め付けて無理矢理吐かせる、という選択肢は取りたくない。


それに、あの彼女達の言葉…俺のやる事は決まっているも同然か。

 

「取り敢えず、プレイアンデル姉妹の情報を探るのはどうでしょうか?」

「そうだな」

「闘神士には様々な種類があります。まず、金銭目的で自ら望んで闘神士を続ける者、必死に生き残り士官や傭兵団への引き抜きを願う者、これまでに得た賞金を持って自由の身を買う者、殺し合いの中で生きる事を選んだ者…など。」

「ああ…あの姉妹もまた、何らかの目的を持って戦っている。」


出来れば、王や五勇士が不在だという間に済ませておきたい。

長居するつもりは毛頭ない。



「考えられる中で、やはり闘神士の大半は"金"か。」


金というのは生きる者にとって喉から手が出る程に欲しい物だ。

時には、己の命を賭けてまで…


「そうですね…やはり、"金"が一番大きいでしょう。特に休む間もなく死合いをする者の目的はお金です。どんな目的を持つ者でも、やはりその多くは金の為に闘っているでしょう…金さえあれば、たとえ奴隷だったとしても自分で自分を買えば自由を手にする事が出来ますから。」


酒場で得た話でも、闘神士は定められた金額を上に払えば晴れて自由の身になれる。

そんな制度が闘神場にあるそうだ。

それは如何なる者でも金さえ払う事が出来るなら、例外なくだ。


だから、闘神士の多くは奴隷だ。

"奴隷”という不自由で不平等な身分を覆せる可能性がある。

だから誰しもが、希望を持って戦っている。

尊い命を散らしながら、殺し合う。

闘神として闘神場に立ち、魂を燃やして殺し合う。

だから、こそ盛り上がる。

客もその熱気に当てられて。

そうして話題になって、客が集まる。


「やはり金か。なら、その金を得る為に彼女達が闘い続けている理由を知るべきだな。」

「そうですね。」

「なら、ここからは役割文旦をしようか。俺は務めを果たす。」

「務め?」


ああ、大切な役割がある。

俺はあの時、間違いなく指名された。

なら、その敬意に応えるしかない。


闘神士の誇りを汚す訳には行かないだろう。


そして何よりも、俺達の目的の為にもな。


「だから、情報収集はお前達に任せる。」

「了解した。」

「分かりました!」


その後は、軽く打ち合わせをして寝ることにした。


「リュート、久々にヤるぞ。」


と、ディナが耳元で囁いてきた。

彼女の手が、俺の局部を優しくなぞる。


おいおい、アルレイヤが居るんだぞ?


そんな事もお構いなしに、ディナが俺の唇を奪ってくる。

魅惑的な香りが、俺の理性を狂わせる。

気付けば俺は、彼女と肉欲に耽っていた。


それを、顔を赤くして覗いているアルレイヤに気付かずに。

この話が面白い!続きが気になる!と思ってくださった方は是非、評価や感想を宜しくお願い致します!

PV数やブックマーク数も増えており、皆様にはとても感謝しています。

これからも、頑張ります!

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