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邪に堕ちし神達の番 〜復讐の焔は、世界をも焼き尽くす。〜  作者: ぷん
第五章 エーレ聖王国編
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第五十六話 叛逆の神女の手掛かり

少しだけ遅れてしまいました!

次回の更新は、月曜日です

屍の使徒。


酒場に突如として現れた奴等は、大声でそう名乗った。


堂々と、自分達が円卓十剣と叛逆姫を殺して見せた存在だと知らしめるように。


奴等は酒場の奥。

比較的に広い卓に近付く。

座っていた客達は席を離れる。

空いたその卓に屍の使徒の面々は座る。


「質のいい酒と料理を頼むぜ?丁重にもてなすが良い!我々はあの帝国最強戦力すら凌駕した英雄であるぞ!」


リーダーと思われる男は、そう言って店員に声を掛ける。

自慢するかのように、そう豪語する。

だが、この場にいる彼等はソレを嘘だと否定する事は出来ない。

奴等が本当に円卓十剣と叛逆姫を殺してみせた。

有り得ない。なんて言葉を述べる資格は彼らにない。

それを否定出来るのは、その現場に居た俺達だけである。


「…………」


暫く、観察する。

運ばれてきた料理と酒を堂々と頬張りながら、盛り上がっている。

仮に、万が一。

奴らが言っていることが本当なのだとしたら、帝国いや勇者国は動かないのだろうか。

となると、エーレ聖王国は既に屍の使徒を取り込んでいる…そう考える事も出来る。

だとすると、少し考えなしに動くべきではない…な。


酒場の客や店員は奴らから視線を外し、気まずい空気を出している。

俺は、連中を観察する。

脅威は感じない…寧ろ、質で言ったら最初に会った栄光の渇望者(デジールグランツ)やアネットで遭遇した禿共の方が強い。

数人を除いては…あのリーダーと思わしき男と、その側に控える3人。

奴等は、警戒しておこう。


今の所、見る限り酒場で食事などをしに来ただけだろう。

ひとまず様子見をするだけで良いな。

このまま、放置しておいても利用価値はある。

出来れば、奴らを…まぁ、いい。

食事を終え、二人を見やる。

 

「それを食べ終わったら戻ろう。」


奴らの顔と、屍の使徒。

もう充分に覚えた。


「もう少しお待ちを」

「まだ食い終わっておらん。」


アルレイヤとディナが、食べ終わるのを待つ。

やはり、いつ見てもアルレイヤは上品に食べるな。

ディナよ、お前も少し見習おうな…


待つ間、もう少しだけ情報を得ようと耳を傾ける。


「アレが例の屍の使徒達か。」

「噂通り、気味の悪い連中だな…」

「奴らの話が真実か嘘かはさておき…屍の使徒以外に当事者も居ないから否定のしようがない。」


その通りだ。

否定しようがない。


「ならよー、もし仮にだが…円卓十剣を殺せるとしたら誰だと思う?」

「んー、分からんなぁ…同じ勇者国で争う意味もないしな…だが、それが出来るとしたら…ヴィーナス勇王国の"三英傑"、マリア神聖国の"聖女"や"神聖騎士団"の団長、そして我らエーレの"五勇士"じゃないか?」

「確かになぁ、その中の誰かなら納得出来るんだけどな…正体不明、実力も不明な屍の使徒がいきなりソレをしたっていまいち信用出来んが…」


確かに、その言い分も理解できる。

名の知れた強者によって強者が討たれれば信憑性も自然と湧き上がる。

が、ぽっと出の無名の強者によって有名な強者が殺されてもいまいちその真偽を疑ってしまう。

まだまだ、会話は続く。


「あ、そう言えばまだ居たな…このエーレで名を馳せる有名人がさ。」

「誰だ?」

「アレだよ、例の闘神士の2人。」

「あ〜!確かに、奴等も相当な化け物だ。」


ほう、闘神士にも居るのか。

名の知れた有名人が。


「あとアレは、"叛逆の神女"は?」

「幻界領域にいるって言われてるあの女か」

「噂じゃ、幻界領域に住まうあのやべぇ魔物共を操る術を使うらしぜ?もしかしたら、その女が奴等を殺したんじゃねぇのか?」

「それはないでしょ〜、エーレ聖王国に気付かずに怪物を連れてくるなんて不可能だし…それに、その叛逆の神女って死んだって噂でしょ?」

「そういえば思い出した。ある噂でな、叛逆の神女と面識がある人物が居るって話を聞いた憶えがある。」


「!?」


その言葉に、俺は耳を傾ける。

思わぬ情報、聞き逃す手はない。


「面識があるって事は、奴の居場所を知ってるのか?」

「ああ、らしいぜ。噂によれば、幻界領域のどの辺りに住んでいるのかも知っているらしい。」

「んで、その名は?」

「ああ、その名はーー」

「ああ、そういえばよ…アリエーゼ子爵の話、聞いたか?」


いい所で、空気を読めない男が割って入ってくる。

俺は「チッ!」と舌打ちをする。

空気読めよ、殺すぞ。


「どうやら、アリエーゼ子爵の屋敷で魔族と亜人族の子供がメイドとして働いてるらしいぜ?」

「へぇ?」

「それが超がつくほどの別嬪って話でな…」


完全に話が逸れてるな。

叛逆の神女…古の魔女。

その正体と居場所を知っている人物…

それを知る事が出来れば、確実に近付く。


「少し、待っててくれ。」

「うむ。」


ディナはその言葉の真意を汲み取り、銀貨の入った袋を手渡してきた。

気が利く良い女だ。


「どうも、お兄さん。さっきの話、詳しく聞かせてもらえませんかねぇ?」

「おいーー「勿論、タダとは言いません。好きな料理と酒を頼んでくださいよ。僕が奢りますんで。」


と、銀貨をチラつかせる。


「いいねぇ!んで、さっきの話ってのは、叛逆の神女の話かい?」

「ええ。その女の居場所を知っている人物について詳しく聞かせて欲しくて…なんなら、弾みますよ?」


銀貨を更にもう一枚。

卓に居た、男女が乗り気になる。


「良いわよぉ!お姉さんが、いっぱい教えてあげる!勿論、美味しいお酒を奢ってもらおうかしら?」

「貴女のような素敵な女性に奢れるなら、僕も嬉しいですよ。」

「あらぁ、お上手♡」


女が俺の腕に胸を押し付け、腕を絡めてくる。


「ひゅー、やるねぇ少年!んじゃ、アンタのもてなしに答えて俺も教えてやらなきゃなぁ!」


成功だ。

こう言った手の奴らは、少し金をチラつかせれば簡単に扱える。


「叛逆の神女の正体は、すでに滅びたとされる伝説のハイエルフらしいぜ?」


ハイエルフ…

アルレイヤの話では、全てのエルフ種や妖精、聖霊の祖先にあたる伝説の種族だったか。


「んで、その叛逆の神女の居場所を知ってるっていう人物はなぁ…この聖都でも最も有名な闘神士…マイア・プレイアンデルとエレクトラー・プレイアンデルっていう姉妹だ。」


闘神士。

そして、姉妹か。

その二人が…叛逆の神女の居場所に関する鍵を握っている。


「それで、その彼女達が知ってるという根拠とかはあるんですか?」

「ああ、ある情報筋でな…その姉妹はかつてある勇者国によって滅ぼされた魔族の娘二人と幻界領域で彷徨ってる時に命を救われたらしいぜ?命を救われた後は、このエーレ聖王国に落ち延びて、どういう訳か闘神士として活躍してる。」

「因みに、その姉妹も噂ではエーレ聖王国に攻められた非勇者国だった小国の王の娘だったらしいぜ?んで、民に裏切られて姉妹は幻界領域に落ち延びたって話を聞いた事もある。」

「信頼していた民に裏切られるとはぁ、なんとも可哀想な奴らだよなぁ!」


がはは、と声をあげて笑う男。


「…………」


その話が本当なら、少し不快だな。

だが同時に、好機が巡ってきたのかも知れない。

その姉妹の話が事実であるなら、勇者国に恨みを持っている可能性は高い。

だが何故、姉妹はそのエーレ聖王国で闘神士として戦っているんだ?


まぁ良い、だがこれである程度は確定した。

闘神士の姉妹。

叛逆の神女の居場所を知っている…

後は、その二人に会うことか。



「因みに、どうやったら会えますか?」

「んまぁ、闘神場に行けば会えるんじゃねぇのか?噂によりゃあの2人は闘神場に備わっている宿泊施設で寝泊まりしてるらしいぜ。

後は偶に、アリエーぜ子爵の屋敷に出向いているって話を聞いた事があるぞ。」

「へぇ、ありがとうございます!」


そう礼を言って席を立とうとした直後。

酒場の扉が、右と左に開かれる。

そして、俺の隣に座っていた女が耳元で話してきた。


「あらぁ、なんの偶然かしらねぇ?」


白銀のバイザー付きの兜に、鎧。

赤いマント。

ローマの剣闘士の姿を連想させる。

そして、背も高い。

モデルのような身体付き、腕や太ももは太い。

ただ太いのではなく、筋肉によるものだ。

  


バイザーによって目元や鼻は隠されているが、口元や歩き方…そして背はまるで一緒。


 


「言い忘れてたが、あの二人は双子さ。」


どうりで。


という事は、つまり。


「ああ、彼女達こそ…闘神場に於いて歴代最強と言われる姉妹闘神士プレイアンデル姉妹さ。」


プレイアンデル姉妹の鎧のイメージは、キング◯ムの摎が付けていた物をイメージして下さると分かりやすいかも知れません。

因みに先日公開された映画…最高でした。

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